見積書メール送付の書き方と例文|見積もり提出の注意点を解説

2023/11/17更新

この記事の監修辻・本郷 税理士法人/辻・本郷ITコンサルティング

契約を検討するうえで重要な判断材料になるのが見積書です。スピーディーなやりとりのために「見積書をメールで送付したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。また、見積書をメールに添付して送るには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。

ここでは、見積書をメールで送る場合の注意点やポイントなどを、具体的なメール文例と共に解説します。

見積書は受注前に発行する証憑の1つ

見積書は、商品やサービスの金額を事前に知らせるために発行する書類です。正式な契約を結ぶ前に、受注した場合の金額・数量・工程・期間などの取引内容を記載し、発注者側・買手側(取引先)に提示します。場合によっては、交渉や変更などを行い、見積書の内容に双方が合意すれば、発注や契約などを経て、契約成立ということになります。また、契約前に見積書で取引内容について合意しておくことで、認識違いによるトラブルを防ぐ役割もあります。

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見積書の記載内容

見積書に記載する内容は、次のとおりです。紙の見積書を郵送する場合も、見積書をメール送付する場合も、記載内容は変わりません。

受注先、請負先の住所、連絡先など

見積もりを依頼してきた相手先の氏名や会社名を、正式名称で記載します。株式会社や一般社団法人といった名称も、「(株)」「(一社)」などと略さずに正式名称で記載しましょう。担当部署宛や担当者宛と指定されている場合などは、部署名や担当者名も併せて記載します。

また、見積書の発行者である自社の社名(個人事業主の場合は氏名や屋号)、担当者名、住所、連絡先を記載します。

見積書作成日

実際に見積書を作成した日付を記入します。

見積書番号

見積書番号とは、社内で管理するための番号です。必須ではありませんが、見積書番号があると、後で管理や検索をするのに便利です。例えば、複数回にわたって見積書を提示している場合など、見積書番号を使うことで、取引先と違う見積書を確認してしまうことなどが防げます。他にも、請求書や納品書などの番号と揃えて管理する方法もあります。

合計金額

消費税などを含めた合計金額を記載します。

受注内容

受注内容や明細をできるだけ詳細に記載します。商品の場合は、品名と数量・単価・金額をそれぞれ記載します。サービスの場合は、誰が見ても具体的な作業や内容がわかるように、項目ごとに金額を分けるなどの工夫が必要です。

例えば、ライターの場合、企画料・原稿料・取材費などの項目を分け、それぞれの金額を記載します。

納期

受注内容に応じた納期を記載します。発注者にとっては、購入や契約を判断する決め手の1つにもなるため、必ず実現可能な納期を記入しましょう。取引内容によって納期がはっきりといえない場合は「別途ご相談」などと記載しておきます。

支払条件

支払方法や支払期限について記載します。支払方法は現金または銀行振込が一般的です。もし、その他に手形や小切手も可能であれば、その旨を記載します。

併せて「月末締め翌月末支払い」「請求後◯日以内」のように、定められた支払期限を記入しておきます。

見積書の有効期限

見積書に記載した内容の有効期限を記載します。有効期限の記載がないと、原材料価格やスケジュールの変動など見積書の提出当時とは状況が変わり、記載した内容・金額で対応できなくなる可能性があります。有効期限は、見積書作成日から2週間~6か月の間で設定されることが一般的です。

見積書をメールで送る際の事前チェック

見積書をメールで送る場合は、事前に確認しておきたい点がいくつかあります。見積書のメール送付については、下記の点を忘れずにチェックしておきましょう。

取引先の了承を得る

取引先によっては、稟議などの都合上、メール添付ではなく紙の見積書が必要とされるケースがあります。特に、初めての取引先とやりとりをする場合は、メールで見積書を送ってもいいか事前に確認し、了承を得ておきます。また、同じ取引先と継続してやりとりしている場合も、担当者や担当部署が変わった際には再度確認しておくと安心です。

もちろん、取引先の方から「見積書をメールで送ってください」と言われた場合は、事前確認は必要ありません。

PDFファイル形式で送る

WordやExcelで作成した見積書は、そのままメールに添付せず、PDFファイル形式に変換してから送付します。WordやExcelの場合、取引先によっては「バージョン違いでファイルを開けない」「ファイルが壊れていて確認できない」といったリスクがあります。また、WordやExcelは上書きが可能です。その点において、不正につながりやすいという問題もあります。見積書のような大切な書類をメールで送る際には、書き換えができないPDFファイル形式が基本です。

また、ファイル送信サービスや見積書作成システムからダウンロードして送付する場合も、PDFファイル形式にしましょう。PDFファイルであれば互換性が高いため、先方のパソコンではファイルが開けないといったトラブルを避けることができます。

押印について確認する

見積書に押印がなくても、法律上は問題ありません。ただし、日本のビジネス慣習として見積書に角印や担当者印が押されていることが多く、企業によっては押印のない見積書は受け取ってもらえない可能性があります。そのため、見積書をメールで送る際には押印が必要か、必要な場合は電子印鑑でも問題ないかどうかを相手先に確認しましょう。

電子印鑑ではなく実際の押印が必要なら、紙の見積書に押印してから、スキャンしてPDFファイル形式に変換しなくてはなりません。

原本の郵送が必要かどうか確認する

企業によっては、メールで見積書を送付した後、紙の原本の郵送が必要なケースがあります。見積書の送付時には原本を郵送すべきかを確認し、原本が必要と言われたらすぐに郵送します。その場合、メール本文にも、追って原本を郵送する旨を記載しておくといいでしょう。

見積書をメールで送る際の注意点

取引先の了承を得て見積書をメール送付する場合にも、いくつか気を付けたい点があります。見積書のメール送付時には、下記の点に注意しましょう。

わかりやすい件名にする

見積書の送付時に限らず、メールの件名はわかりやすいものにするのが理想です。特に、見積書のような重要な書類を送るときには、他のメールに埋もれてしまうことのないように、ひと目で内容がわかる件名が望ましいでしょう。

例えば、「◯◯費お見積書送付のご案内」など、メールの内容がわかりやすく、かつ検索しやすい件名がおすすめです。

ファイルを添付していることを明記する

メールにファイルを添付するときには、どのようなファイルを添付したのかをメール本文にも記載するのがビジネスマナーです。見積書のファイルを添付したことを伝えると共に、見積書番号や有効期限といった見積書の情報も、併せて本文に記載しておきましょう。これらを本文に明記しておけば、「担当者が添付ファイルを見落とす」ということも防げます。

見積書のPDFにパスワードをかけるなどの保護をする

見積書には、取引内容や金額、場合によっては値引き条件などの機密情報が記載されています。第三者が簡単にデータを開けないように、見積書のPDFにパスワードをかけるなどのセキュリティ対策を講じる必要があります。また、パスワードは同じメールに記載するのではなく、別のメールで明記するといった配慮も必要です。

見積書をメールで送る際のテンプレート

ここからは、見積書をメールで送付する場合のテンプレートをご紹介します。ケースごとに文例をご紹介しますので、参考にしてみてください。

文例1

見積書1通をメールで送る場合

件名:
◯◯費お見積書送付のご案内

本文:
◯◯株式会社
◯◯部 ◯◯課
◯◯様

いつも大変お世話になっております。
ミソカインボイス株式会社の田中です。

この度は見積もりのご依頼をいただき、ありがとうございました。
◯◯のお見積書を添付ファイル(PDF)にてお送りいたします。

見積もり内容に、ご不明な点、ご要望がございましたらお申し付けください。
できる限りご要望に沿えるよう努力いたします。

万が一ファイルが開けない場合はお手数ですがご連絡ください。
本見積もりの有効期限◯年◯月◯日までにお返事をいただければ幸いです。
ご検討のほどよろしくお願いいたします。

ミソカインボイス株式会社
◯◯部 田中
TEL:000-000-000
メールアドレス:xxxx@example.com

文例2

見積書が複数あり、製品資料なども併せて送る場合

件名:
◯◯費お見積書送付のご案内

本文:
◯◯株式会社
◯◯部 ◯◯課
◯◯様

いつも大変お世話になっております。
ミソカインボイス株式会社の田中です。

この度は見積もりのご依頼をいただき、ありがとうございました。
◯◯のお見積書を添付ファイル(PDF)にてお送りいたします。

お打ち合わせいただいた内容を踏まえ、AプランとBプランの2通りのお見積書を作成いたしました。
ご不明な点、ご要望がございましたらお申し付けください。できる限りご要望に沿えるよう努力いたします。
製品の資料も併せてお送りいたしますので、ご参考いただけますと幸いです。
なお、お見積書の有効期限は◯年◯月◯日までとなっております。

万が一ファイルが開けない場合はお手数ですがご連絡ください。
ご検討のほどよろしくお願いいたします。

【添付資料】
■お見積書 2通
・◯◯お見積書Aプラン
・◯◯お見積書Bプラン

■弊社製品資料 一部

ミソカインボイス株式会社
◯◯部 田中
TEL:000-000-000
メールアドレス:xxxx@example.com

見積書をメールで送るメリット・デメリット

見積書のメール送付には、メリットとデメリットがあります。それぞれについて確認しておきましょう。

見積書をメールで送るメリット

見積書のメール送付には、自社だけではなく取引先にもメリットがあります。見積書をメールで送る主なメリットは、下記のとおりです。

  • 郵送にかかる手間やコストの削減
    紙の見積書を郵送すると、紙代、印刷代、封筒代、切手代などのコストや、送付作業の手間が発生します。また、見積書を保管するためのスペースの確保や、ファイリング作業なども必要です。見積書をメール送付すればこれらの手間やコストが削減できるうえ、郵送よりも早く見積書が相手に届きます。
  • トラブル防止
    郵送の場合、郵便事故や、宛名・住所の書き間違いなどによる未着のリスクがあります。また、社内の機器の故障などによって、見積書の印刷や発送が遅れてしまうことも考えられるでしょう。もし、相手先が早く契約を決めたいと考えていた場合、対応の遅れは取引機会の損失に直結してしまいます。

メールならデータで見積書を送付できるので、そのようなトラブルが生じても迅速に見積書を送ることが可能です。見積書をメール送付すると、こうしたトラブルの防止にもつながります。

見積書をメールで送るデメリット

見積書のメール送付は、コスト削減、トラブル防止といったメリットがあります。その一方で、下記のようなデメリットもあります。

  • 電子データ作成や保管に関するシステムの導入・運用コストがかかる
    見積書をデータで送るためにシステムを新たに導入する場合、導入コストや運用コストがかかります。しかし、見積書のメール送付は電子帳簿保存法にも関連するため、いずれシステムの導入が必要になるでしょう。かかる費用はデメリットと捉えずに、これを機に自社に合ったシステムの導入を検討するのも1つの方法です。
  • 電子データの情報漏洩リスク
    見積書のメール送付にあたっては、メールの宛先間違いや、コンピューターウイルスなどによる情報漏洩リスクが考えられます。このようなリスクを防ぐため、社内で電子データの取り扱いについて規程を設けるなど、十分な対策が必要です。

見積書に関する電子帳簿保存法への対応

2022年1月1日施行の電子帳簿保存法の改正によって、電子データでやりとりした見積書は、電子データのまま保存することが義務付けられました。2023年12月末までは経過措置として、従来どおり紙に出力しての保存も認められますが、それ以降はすべての事業者が改正電子帳簿保存法への対応が必要です。

例えば、見積書をメールで送付または受領したり、見積書のPDFデータをダウンロードしたりする場合も、電子帳簿保存法に則って電子保存が必須となります。

電子データ化した見積書の保存期間

見積書の保存期間は、紙・電子データ共に、法人の場合はその事業年度の確定申告期限の翌日から7年間です。ただし、青色申告で赤字決算の場合や、青色申告書を提出しなかった事業年度に災害損失欠損金額が生じた場合は、10年間(2018年4月1日前に開始した事業年度は9年間)の保存が必要です。また、個人事業主の場合、青色申告・白色申告共に、見積書の保存期間は確定申告期限の翌日から5年間です。保存期間は、見積書を発行した場合でも受領した場合でも変わりません。

なお、これまで紙で保管していた書類(過去の重要書類)を電子データによる保存に切り替える場合は、税務署に「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の適用届出書(過去分重要書類)」を提出する必要があります。なお、国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存は義務ではありませんので、対応ができるようであれば検討してもいいでしょう。

検索機能を備えた保存方法

見積書を電子保存する場合は、「取引年月日」「取引金額」「取引先」を含む、統一したファイル名称を設定しましょう。ファイル名をまとめた一覧表などを作成し、検索しやすい状態にしておく必要があります。

訂正・削除など改ざん防止

データの訂正や削除に関する事務処理規程を策定し、電子データを改ざんされないような対策を講じます。社内でルールを定め、紛失防止などに関しても適切な措置をとらなくてはなりません。

クラウドサービスを活用して見積書を効率良く作成・送付しよう

見積書をメールで送付すると、紙で郵送する場合に比べて、さまざまな手間やコストを削減することができます。さらに、見積書の作成・発行業務を効率化するなら、クラウドサービスの利用がおすすめです。クラウド見積書作成ソフト「Misoca」なら、見積書はもちろん、請求書、納品書、注文書、領収書、検収書といった、ビジネスに必要な書類をすべて電子的に作成できます。

さらに、「Misoca」なら、メール送付・PDF発行・リンク共有もワンクリックで完了します。メールに添付して送る場合送信経路が暗号化されておらず、改ざんや盗聴といったリスクがあります。「Misoca」のメール送信機能は、見積書データのダウンロードができるURLの送信もできるので、メールに添付する方法に比べ、より安全に送信できます。

また、弥生の「スマート証憑管理」では、領収書や請求書、見積書などの証憑をクラウド上で保存・管理が可能です。電子帳簿保存法に定められた検索要件や訂正・削除の防止措置にも対応し、証憑をペーパーレスで一元管理できます。便利なクラウドサービスを活用してスムースに見積書を発行し、ビジネスチャンスにつなげましょう。

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この記事の監修辻・本郷税理士法人

国内最大規模の税理士法人。専門分野に特化した総合力を活かし、一般企業の税務顧問をはじめ、医療法人、公益法人、海外法人など多種多様なお客様へサービスを提供。開業支援から事業承継、相続・贈与対策、オーナー向けの資産承継など、法人・個人問わずお客様のニーズに柔軟かつ的確に応えるべく、幅広いコンサルティングを行っている。
Webサイト:https://www.ht-tax.or.jp 新規タブで開く

この記事の監修辻・本郷ITコンサルティング

国内最大級の税理士法人である辻・本郷 税理士法人のグループ会社として2014年に創業。実践した数多くのDX化ノウハウをグループ内外に展開。バックオフィスに課題を抱える組織のコンサルティングから導入までをワンストップで行う。電子帳簿保存法やインボイス制度対応等、最新のコンサルティング事例にも精通。「無数の選択肢から、より良い決断に導く」をミッションとし、情報が多すぎる現代において、お客様にとっての「より良い」を見つけるパートナーを目指す。

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