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【2020年版働き方改革関連法まとめ】労働時間・賃金や労働環境など事業者の影響は?

公開日:

執筆者:倉持 鎮子

【2020年版働き方改革関連法まとめ】同一労働同一賃金、残業時間の上限規制……賃金や労働環境へなど事業者への影響は?

「働き方改革関連法」に関し、事業者としてどのように対応を進めていくべきかをまとめました。働き方改革を進めることで「ワーク・ライフ・バランス」(私生活の充実と仕事の充実の相互関係)が実現し、事業としての成長を見込むこともできます。罰則規定なども把握し、スムーズな対応を目指しましょう。



目次

働き方改革関連法とは

「働き方改革関連法」(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)は、平成30(2018)年7月6日に公布されました。働き方を変えるためのさまざまな制度が誕生しましたが、すべて狙いは同じです。「働き方をその人自身が選べる社会の実現」であり、国はそのために必要な環境を整えていこうとしています。

そのためには、大企業のみならず中小企業もこの法律に沿った対応をしていくべきだと考えられます。ポイントは9つとなりますので、順番におさえていきましょう。

「労働時間」に関する働き方改革

まず、労働時間について、事業者が確認しておくべきことを見ていきましょう。

時間外労働(残業)は月45時間、年360時間に上限規制

大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から、時間外労働、つまり「残業」の上限が法律で定められました。

違反した場合、「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」となります。改定前と改定後では、より残業時間が減り、労働時間の厳格な管理が必要となります。

【改定前】
法定労働時間:原則1日8時間、1週40時間以内
法定休日:原則少なくとも週1日

これを超える場合には、労働基準法36条に基づく労使協定が必要(サブロク協定)

【改定後】
上限内容は月45時間、年360時間

特別な事情があり、労使で合意がある場合のみ、上限内容を超えることができます(特別条項)。ただし、年間労働時間や月平均に一定の基準があります。

高度な知識や技能を用いる専門職向けの高度プロフェッショナル制度創設

高度プロフェッショナル制度とは、「高度な知識や技能を用いる専門職については、労働時間でなくその成果で評価する」といった内容のものです。2019年4月から全企業が対象となっています。現時点では、一定職種の年収1,075万円以上の労働者を想定しています。具体的な業種としては、研究開発職、アナリスト、コンサルタント、金融ディーラー、ファンドマネージャーなどです。

「短時間でも高い報酬が得られる」というメリットの裏に、「どれだけ長い労働時間であっても報酬が変わらない」というデメリットがあり、『残業代ゼロ法案』と呼ばれ、今後も議論が必要とされるところとなっています。

「労働時間の客観的な把握」が義務化

2019年4月より全企業対象に「労働時間の客観的な把握」が義務化されました。各事業者・事業所に委ねられていた労働時間の把握を、より明確な法的根拠のある方法で行うことを義務付ける内容です。その方法については「厚生労働省令で定める方法」となっており、事業者は「タイムカードによる記録」「パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録」などが可能になる環境を整える必要があります。

「労働賃金」に関する働き方改革

ここでは、労働賃金について、事業者が確認しておくべきことを解説します。

フレックスタイム制の清算期間が最長3ヵ月に

2019年4月から全企業を対象に、フレックスタイム制の「清算期間」が、1ヵ月から3ヵ月に変更となりました。改正前は1ヵ月以内での調整しかできませんでしたが、清算期間が3ヵ月とのびたことにより、月をまたいでの調整が可能となります。「今月は仕事が忙しいから労働時間を増やし、そのぶん来月の労働時間を減らす」といったフレキシブルな働き方もできるようになりました。

中小企業への割増賃金率は50%以上割増が義務に

「割増賃金率」とは、1ヵ月に60時間を超える「時間外労働」の賃金に対して掛けられる比率のことです。50%以上の割増を行うことが義務付けられており、大企業については既に2010年から導入されています。中小企業については猶予措置が取られていましたが、2023年4月に廃止され、大企業と同じ条件が求められることになります。

同一労働同一賃金の原則の導入

非正規労働者の待遇改善の役割を期待されているのが「同一労働同一賃金」です。大企業では2020年4月まで、中小企業では2021年4月までに制度を導入しなければなりません。同一労働同一賃金の原則とは、正社員、パート・アルバイトなど、雇用形態の違いに関わらず、公平な待遇をしていくことを目指すものです。非正規社員と正社員との待遇差を解消し、非正規社員であっても仕事のモチベーションを保ちやすくします。

なお、賃金だけでなく、福利厚生制度についても格差をなくすことが求められる点にも注意が必要です。大企業については2020年4月から、中小企業については2021年4月1日より施行となります。

「労働環境」に関する働き方改革

労働環境について、事業者が確認しておく必要があることを見ていきましょう。

労働者に「年次5日の有給休暇」を取得させることが義務に

企業の規模に関わらず、2019年4月から、労働者に「年次5日の有給休暇」を取得させることが義務付けられました。違反した事業者に対する罰則は、「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。対象となる従業員には条件があり、一般社員、パート・アルバイトの場合などについて、それぞれ確認しておく必要があるでしょう。

健康障害のリスクを減らす目的の「勤務間インターバル制度」

2019年4月に施行された「勤務間インターバル制度」とは、勤務と勤務の間に、一定の時間を置く制度です。具体的には、就業時刻から翌日の次の始業時刻までに一定時間以上の休憩期間を確保することを事業者に求めています。労働者が睡眠時間や休息時間を確実に得ることで、健康障害のリスクを減らすことが目的です。

「勤務間インターバル制度」は、働き方の見直しのための他の取組みとあわせて実施することで一層効果が上がると考えられています。健康やワーク・ライフ・バランスの確保策として今後、導入を検討する企業も増えてくるかもしれません。

政府目標は「2020年に導入企業10%以上」となっていますが、事業者に対しては「努力義務」で、現状は罰則もありません。また、インターバルの具体的な時間も定められていません。

産業医の権限強化

「労働安全衛生法」の改正に基づき、全企業対象に2019年4月から産業医の権限が強化されました。事業者は産業医に対し、従業員の健康管理に必要な情報を提供する義務があります。また、産業医はこれらの情報に基づいて産業医が行う勧告をすることが可能です。

事業者に産業医の勧告を受け入れる義務はないのですが、その内容や、従わなかった場合の理由などを記録・保管し、衛生委員会に報告する必要があります。

なお、産業医への報告内容のひとつに「ストレスチェック」というものが含まれます。2015年12月より、50人以上の従業員がいる事業所は毎年1回、実施する義務があります。50人未満は「努力義務」となっていますが、義務化される可能性も視野にいれておくべきでしょう。

事業者向けの助成金はある?

新たな制度に対応していくため、活用できる助成金は積極的に申請するようにしましょう。

法令改正情報を入手するには

法令改正情報を知るには、インターネットでの検索が便利です。さまざまな関連記事があります。

通常の検索方法で行政のホームページを見つけることもできますが、まずはわかりやすさ・理解しやすさを重視した記事を読み、ある程度ポイントをおさえてから一次ソース(発信源の情報)を確認すると、より効率的です。最終的には行政のホームページを確認するようにしましょう。

働き方改革に関する相談窓口

どのように働き方改革を進めればよいのかを相談することも可能です。経営コンサルタントのほか、商工会議所・商工会、社会保険労務士、弁護士なども利用しましょう。

まとめ

働き方改革の狙いは労働者が働く環境を改善するものではありますが、結果的には労働の質を上げるものであり、能力のある労働者を呼び込むものでもあります。つまり、「企業力」を高める大きなチャンスと言えるのです。労使相互にとって有益なものであると理解し、取り組んでいきましょう。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者

倉持 鎮子
倉持 鎮子

ライティングスタジオ・シーラカンストークス代表/ライター/ディレクター/マーケター。
美容、育児・教育問題、PTA関連、科学、不動産、保険、採用に関する記事を執筆。

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