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【withウイルスのビジネス論】ピンチはチャンス!―ニューノーマルとの向き合い方

公開日:

執筆者:矢郷真裕子

【withウイルスのビジネス論】ピンチはチャンス!―ニューノーマルとの向き合い方

新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに、さまざまな業種において、ビジネスのあり方が見直されつつあります。
そんな中、「新型コロナウイルスのピンチはチャンス」と話すのは、OneWorld税理士法人の公認会計士・税理士で、ビジネスモデルの構築支援やそれに伴う資金調達支援の専門家である大野修平先生。
今回は、withウイルス、アフターコロナの時代を生き残っていくため、経営者や個人事業主、起業志望者などにはどのようなマインドセットが必要なのか、ビジネスのスタイルをどう変化させていくべきか、withウイルスのビジネス論をインタビューしました。

(※この取材はオンライン会議ツールを使用し、リモートでインタビューしたものです)



大野修平(公認会計士・税理士)

大野修平

OneWorld税理士法人 公認会計士・税理士。
大学卒業後、有限責任監査法人トーマツへ入所。
金融インダストリーグループにて、主に銀行、証券、保険会社の監査に従事。
トーマツ退所後は、OneWorld税理士法人にて開業支援、融資支援、税務顧問などの業務を行う。
また、毎週、補助金と融資の勉強会 を開催し、中小企業の資金繰り支援にも力を入れている。
【大野先生のスモビバ!執筆記事】
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目次

新型ウイルスは今後も発生の可能性大!?「withウイルス」を前提としたビジネスを

――アフターコロナの社会において、どのようにビジネスを展開していくべきか、模索している経営者や個人事業主、フリーランスは多いのではないかと思います。アフターコロナ、withウイルスのビジネスでは、どのように行動していけばいいのでしょうか?

大野修平先生

大野修平先生(以下・敬称略):前提として、まずは「withウイルス」という考えについて説明しましょう。

今回、感染が拡大しているCOVID-19は、2019年末に確認されたことから「19」という数字がついているのですが、実は新型コロナウイルスというものは、2002年のSARS、2012年のMERS、2019~2020年のCOVID-19と、この20年間に3回発生しています。同様に、COVID-25やCOVID-30などが今後も発生する可能性は高いんですよ。

今まではウイルスと共存する社会やビジネスというものはあまり考えられていませんでしたが、今後はウイルスを前提とした社会を作っていかなければならない。今回のパンデミックが収束した後の世界を「アフターコロナ」と呼ぶ人が多いのですが、ニューコロナが出てくる可能性も大いにあります。そのため「withウイルス」の考え方を頭に入れておくことが重要だと思います。

――「新型コロナが収束したら、きっと自分のビジネスの状況も元に戻るはず」と考えている人もいそうですが......?

大野修平先生

大野:僕たち税理士も、これまでは在宅勤務などが認められていないことが多かったのですが、緊急事態宣言を受けて、いろいろな税理士事務所が一気に在宅勤務に切り替わりました。しかし、緊急事態宣言が解除されて、「やっぱりお客様と直接会ってミーティングがしたい」と言う人もいました。

今までオフラインのやり方で長年やってきているから、「新型コロナ前に戻ろうとする力」が、頭の中で強く働いてしまう......。とはいえ、今までの方法が慣れているから正しいかと言うとそうではなく、いずれまた同様の危機が来ることが考えられるならば、慣れるのに時間がかかっても新しい働き方に対応していく必要があります。

COVID-25やCOVID-30に対応できるビジネスに、まず自分たちが慣れておかないと効率が悪いし、今後の価値観として「えっ!? わざわざオフラインで会ってミーティングを行うの? その感覚、古くない?」と、抵抗を示すお客様も増えてくるでしょう。だから、もう後戻りできない時代に来てしまったのだと認識し、withウイルスの時代を生きるという覚悟が必要になると思いますね。

オフラインとオンラインの融合が進み、進化についていけないと取り残される

――「アフターコロナでビジネスのやり方を変えるべきなのか? 元に戻るのでは?」と迷っている場合ではなく、withウイルスを前提としたビジネスについて考えるべきなんですね。

大野修平先生

大野:そうです。国からは、今回の新型コロナが流行る前から、「Society5.0」という新しい社会モデルが提言されていました。これは、今まで現実空間と仮想空間が区別されていたものを、これからの社会では高度に融合させていこうという構想です。新型コロナウイルスの影響で実際にそういう社会にやっと変わってきて、今後もますます変化が進んでいくと思いますよ。

――確かに、今まではオフラインとオンラインの融合がなかなか進まなかった部分でも、今回のコロナ禍によって、一気に「オンラインのほうが効率的なこともいっぱいあるよね!」という状況になってきています。

大野修平先生

大野:さらに、オンラインでやり取りをすると、デジタル上にいろいろなデータが蓄積されていくんですね。その形を整えて、ビッグデータのようにして分析していくことで、新しいサービスやビジネスもどんどん生まれてくるでしょう。

例えば、僕自身もこれまであまりキャッシュレス決済を使ったことがなかったんですよ。しかし、硬貨や紙幣にウイルスが付着しているかもしれないと思うと、やはりキャッシュレス決済を使うようになったんですよね。

今までは小売店などでの現金のやり取りは、ほとんどデータ化されていませんでした。が、今後多くの人が僕みたいにキャッシュレス決済を使うようになると、「この人は毎日ヨーグルトを買っています」ということがデータとして残るようになる。事業者側はそれを利用して、「このヨーグルトを買っている人には、この商品をお勧めするのがいい」とか、「このクーポンを出したらいい」とわかるようにもなる......こういったイメージです。

まだあまり知られていませんが、税制改革の面でも、このSociety5.0が関わっている部分がありますね。AIやIoT、オープンイノベーションなどの技術には「税制優遇をしましょう」というのが、政策に織り込まれています。

――Society5.0について、恥ずかしながら私も知らなかったのですが、理解しておかないと損をしたり、取り残されてしまうかもしれないですね......。

大野修平先生

大野:もう1つ、自由民主党が提言している「デジタル田園都市国家」という社会モデルもあります。これには東京一極集中の必要性がなくなってくることが示されています。

これまでは人が集まる方が効率的だったのですが、今は集まることによる感染拡大のリスクが出てきてしまいましたからね。こういった政策の後押しなどもあって、今後ますますオフラインとオンラインのシームレス化は進んでいくでしょう。

2030年には、学生時代からインターネットに親しんでいる世代が50歳前後になり、ビジネスを主体的に動かしていくでしょう。そのころ、デジタルネイティブも30歳前後になって働き盛りです。なので「いつかパンデミック前のアナログなビジネスに戻れるんじゃないかな」という感覚は的外れ。戻っちゃダメですし、しっかり進化についていかないと取り残されてしまいます。

withウイルス時代は、どんなビジネスも新しい提供価値の定義が必要

大野修平先生

――正直なところ、これまではアフターコロナという言葉を、「コロナが終わったらそれ以前の時代に戻る」というイメージで捉えていました。

大野修平先生

大野:それは幻想だと思います。「戻る」という間違った予測のもとで動いてしまうと、大きく失敗してしまうリスクがあります。経営者や個人事業主は、「戻らない」という認識に大きく振り切ってしまうのがいいのではないでしょうか。

――社会が一度大きく変わってしまったら、消費者のニーズや行動も変わっていきますしね。

大野修平先生

大野:そのニーズに合わせて、いかなる事業者も「自分のビジネスの提供価値」を考え直さないといけないですね。どんなサービスや商品を提供するかということよりも、どういった消費者のニーズに応えていくのかというところまで考えないといけませんね。さらにそれを具体化する手段をサービスや商品に落とし込んでいかないと、ビジネスを見誤ってしまうのかな、と思います。

例えば、僕たちの税務顧問という仕事だと、今までは適切な税務申告や会計処理などを顧客に提供していました。しかし、これを一旦抽象化して考え、安心した会社経営というのを提供価値として定めるのであれば、「レシートを持参か郵送してください」とか、「打ち合わせのために会社に訪問させてください」ということは大切ではないかも、と分析できます。

そうなると、今後は省略できる作業は会計ソフトで自動化するとか、オンラインでもいいからコミュニケーションの時間を増やすなど、提供価値に合わせて、サービスや商品の内容も変えていかなければいけない......という発想が出てくるかもしれません。

――緊急事態宣言中のニュースでは、業態変更を余儀なくされた飲食店などの苦悩も、頻繁に取り上げられていた印象です。

大野修平先生

大野:飲食店も、今までは「お客様が集まってワイワイしている場所に、美味しい料理を提供する」というのが提供価値だったかもしれません。人は基本的に3密が大好きなのです。しかし、今は人が集まること自体がリスクなので、なかなか以前と同じビジネスはできません。

これからのビジネスでは、これまで自分たちは何を提供していたのかと考え直してみるといいかもしれないですね。場所と料理のほかに、友達同士がコミュニケーションをするきっかけを提供していたと捉え直すことで、新しいビジネスの方向を見つけられるかもしれません。

――もしかしたら、もともとの顧客のターゲットを、大胆に変える必要性もあるのでしょうか?

大野修平先生

大野:飲食店の場合、考える新しい提供価値によっては、「オフラインで実際に集まって乾杯したり、肩を組んだり、カラオケで歌ったりしたいという人たちは、もう自分たちのお客様ではない」という割り切りが必要になるかもしれませんね。逆に、そういう人たちにサービスを提供するんだということで、徹底した衛生管理のもとでビジネスを行うのも、新しい提供価値の1つだと思います。

いずれにしても、自分たちがどういう顧客を狙っていくのかを考え直すと、今までのお客様とはセグメントが変わってくるでしょう。これまで性別や年齢主体で分類していたのが、衛生意識やITリテラシーなど、セグメントの軸が増えるはずです。

――withウイルスでも、ビジネスの本質的な提供価値や、顧客のターゲットは変えなくても大丈夫かなと思っていましたが......それ自体も捉え直してみる必要性があるんですね。

大野修平先生

大野:むしろ無理やりにでも変えるほうがいい、と僕は思いますよ。今は、移動手段が馬車から車に変わるくらい大きな変革が起こっている時代なんです。それなのに、セグメントの軸が増えることを無視したまま、「昔ながらのアナログな体験を提供するぞ」と言っても、誰もついてこないですから。

過去に固執せず、長期的な視点で、ニューノーマルに合わせたビジネス展開を

大野修平先生

――誰もついてこなかったらビジネスとしては成り立たない、と。

大野修平先生

大野:新型コロナウイルスをきっかけに、僕たちはリモートワークとか、オンライン飲み会とか、おうち時間とか、いろいろな新しい体験をしているじゃないですか? それで「オフラインの世界は意外に狭くて、無駄なことも多かったね」「オンラインを利用すれば、もっといろいろなことができるね」ということがわかりました。

その一例として、「押印をするためだけに会社に行きたくない」という人たちのニーズを捉えて、仕事の環境改善を呼びかけた企業もあります。コロナ禍をきっかけに実際に体験してみたら、「IDを1つ作るだけで契約書が作成できるのは押印が不要でラク」と好評なようです。こういう体験や変化がいろいろなところで起こってくるでしょう。

――印章業界が、デジタル推進反対の声明を出しているとニュースで見聞きしましたが、その活動は長い目で見ると未来がないということでしょうか?

大野修平先生

大野:ハンコ屋さんもビジネスの内容と提供価値を考え直す時期なのかもしれませんね。

「ハンコは特別なときに押す、自分だけのもの」と考えたら、デジタル上でこの世に1つしかないハンコを作って、その印影を改ざんできないように担保する技術があれば、新しい価値観として定着しそうな気はしますけどね。

このような発想は、古いやり方に固執せず、「ハンコが提供できるものって何だろう?」と考え直して、提供価値を1段階抽象化しないと出てこないんですよ。

――コロナ禍の後の新しい社会常識や生活様式を指す「ニューノーマル」という言葉も、少しずつ浸透してきていますね。

大野修平先生

大野:それに従って、僕たちの生活や消費行動をテクノロジーに合わせに行くような動きもあるんじゃないかなと思います。

例えば、「家を建てるときにはリモートワーク用の書斎を作ろう」など、今までだったら考えられなかったような変化が起こるわけですよ。長期的な視点で、ニューノーマルに合わせたビジネス展開を考えることは、新しい顧客を見つけるということと意味は同じですよね。

――まさしく、リモートワーク用の部屋が欲しいという理由で、部屋数が多い一戸建ての購入を検討する人が増えているというニュースを最近見ました。

大野修平先生

大野:その部屋の壁を緑色にしちゃえば、合成背景用のグリーンバックになりますからラクですよね(笑)。そういう新しいニーズは、絶対に数多く出てくるでしょう。
また、過去のバブル崩壊やリーマンショックというものは、株価の暴落や金融の信用不安が起こるなど、ファイナンシャル的なショックでした。

ところが新型コロナによるショックはウイルスが起因であるため、最初は身近な飲食店や商店などが打撃を受けました。それが徐々にグローバルに発展し、大企業の倒産なども聞くようになってきましたよね。今はまだファイナンシャル部分に大きな打撃は受けていませんが、いつかは影響が及び、本格的な不景気がますます進んでいくでしょう。そこで生き残っていく会社は限られてくるはずです。

新型コロナウイルスによる価値観の変化は、ピンチではなくチャンスの宝庫!

大野修平先生

――新型コロナによるショックが金融にまで推移して、不景気が進むなら、やはり大方のビジネスが大ピンチに陥る気がするのですが......!

大野修平先生

大野:いえ。むしろ今は、めちゃくちゃチャンスの時代だとも思います。例えば僕たちの事務所では、セミナーをオンラインで開催するようになって、参加者もすごく増えているんですよ。

オフラインだと会場のキャパシティや立地などで制限がかかっていた部分もありますが、オンラインはそういう制限が取り払われるので、チャンスがたくさんあるんじゃないかなと感じています。今までのビジネスにこだわってしまうと、withウイルス時代への移行はピンチになるのですが、そうではなくて、環境も消費者の価値観も変わり、今までの無駄な制約がなくなると考えれば、それはチャンスの宝庫です。

――なるほど。消費者側もコロナ禍を経て、あらゆる変化を受け入れやすくなっていますしね。

大野修平先生

大野:新型コロナウイルスのせいで、今までのビジネスが制約を受けるのではなく、これによって時代が進み、新たなニーズが生まれると考えれば、大きなビジネスチャンスだと思いますよ。しかも新たなニーズには、大企業でもまだ対応できないところが多いですが、動きが早い中小企業や個人事業主ほど、そこに対応しやすいじゃないですか。

――新型コロナによるショック以降、「アフターコロナで新しいビジネスを始めたい」「既存の事業を新しい時代に対応させるよりも、ゼロから考え直すほうがいい」という前向きな相談も増えているようですね。これから起業したいと考えている人が意識しておくべきことは何でしょうか?

大野修平先生

大野:これから起業する人は、本当に何のしがらみもなく自由な発想で、withウイルス用のビジネスを構築すればいいでしょう。会社や事務所、店舗、スタッフなどの維持費という負の遺産のようなものもないので、自宅の書斎でできるビジネスを、とにかく自由にどんどん広げていってほしいです。

――アフターコロナ、withウイルスの世の中がどうなるのか、見当もつかなくて不安ばかりでしたが......新型コロナウイルスのショックの体験を機に、前向きにビジネスを生み出していけばいいんですね!

大野修平先生

大野:今までは「こうだったらいいのにな」という部分に、テクノロジーや商慣習がついていけてなかったところもたくさんあるじゃないですか? しかし今はその足枷が外れたので、新しく考え出されるビジネスもたくさん増えますよね。僕自身も、これから世の中にどんなビジネスが出てくるのか楽しみなんです。withウイルスの時代を生き抜く覚悟を決めて、ビジネスを変化させていけるといいですね。

撮影:塙薫子

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この記事の執筆者

矢郷真裕子
矢郷真裕子

編集者・ライター。出版社勤務を経てフリーランスに。手がけてきた分野はエンターテインメント(お笑い・音楽)、グルメ、衣料(ファッション)、児童、占い、街ブラ、ライトノベルなど。

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