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複業は"福"業!? フリーランスの働き方はコロナ禍でどう変化した?

公開日:

執筆者:安田博勇

複業は“福”業!? フリーランスの働き方はコロナ禍でどう変化した?

コロナ禍において「1つの業種だけに頼っているのは不安…」と感じている方も多いのではないでしょうか。そうしたなか、注目されるのが「複業」という働き方です。1業種や1つの収入先だけに頼らない“複業”は、どのような効果があるのでしょうか? 今回は一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(以下、通称・フリーランス協会)代表理事・平田麻莉さんに、複業の定義やそのメリットについておうかがいしました。

(※この取材はオンライン会議ツールを使用し、リモートでインタビューしたものです)



平田麻莉(ひらた・まり)

平田麻莉(ひらた・まり)

慶應義塾大学総合政策学部在学中にPR会社ビルコムの創業期に参画。Fortune 500企業からベンチャーまで、国内外50社以上において広報の戦略・企画・実働を担い、戦略的PR手法の体系化に尽力。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院への交換留学を経て、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。現在はフリーランスで広報コンサルティングや出版プロデュースを行う。2017年1月にプロボノの社会活動としてプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会設立。 政策提言や実態調査、フリーランス向けベネフィットプランの提供、フリーランス活用企業の支援などを行い、新しい働き方のムーブメントづくりと環境整備に情熱を注ぐ。政府検討会の委員・有識者経験多数。
https://www.freelance-jp.org/

フリーランス協会「意識調査」に見るコロナ禍でのフリーランスの働き方の傾向

安田

――お久しぶりです! 平田さんには2017年7月公開「フリーランスの働き方改革とは?」の記事でお話をうかがいました。フリーランスの働き方は変化を続けていますが、今は何といっても「新型コロナウイルス感染症」による仕事への影響が大きな関心事です。事業収入を得るのに不安定さを感じているフリーランス・個人事業主も急増していると思われますが...

平田

平田麻莉(以下:平田):先般、フリーランス協会では「コロナ禍でのフリーランス・会社員の意識変容調査結果」を公表しました。調査ではいくつかの設問から「beforeコロナ(2019年10月23日〜11月24 日)」と「afterコロナ(2020年4 月 22日〜5月9日)」の回答を比較。象徴的なトピックとしては、

●働き方に対する満足度が『非常に満足/満足』
beforeコロナ83.6% → after コロナ69.2 %

●働き方の課題が『収入が安定しない』
beforeコロナ55.1% → afterコロナ64.7%

といった変化がありました。

安田

――働き方に関しては、コロナの影響を受けつつも、半数以上が満足しているというのは印象的ですね。働き方にまつわるデータはありましたか?

平田

平田:「働き方の課題」の設問を見てみると、コロナ後に拡大した項目のなかには「仕事がなかなか見つからない」「他人とのネットワークを広げる機会が少ない」という意見がありました。

「フリーランスを続けていく上で課題になっているものは何ですか?」についての回答結果

「フリーランスを続けていく上で課題になっているものは何ですか?」についての回答結果(「コロナ禍でのフリーランス・会社員の意識変容調査結果」より)

もう1つ、調査結果を見て私たちが驚いたのは、回答者の87.3%が「beforeコロナに比べて業務への影響が非常にあった/やや影響があった」としているのにも関わらず、この働き方を「継続したい」という方が85.8%もいらっしゃったこと。継続したいと思っていないのはわずか2.1%でした。

「afterコロナに向けて、フリーランス・パラレルキャリアとしての働き方を継続したいと思っていますか?」についての回答結果

「afterコロナに向けて、フリーランス・パラレルキャリアとしての働き方を継続したいと思っていますか?」についての回答結果(「コロナ禍でのフリーランス・会社員の意識変容調査結果」より)

皆さん、コロナ禍でさまざまな課題に直面していることと存じますが、それでも「働く時間や場所が自由」「自分の技能を充分に発揮できる」「頑張り次第で収入を増やせる」「業務を柔軟に変えられる」といった理由から、フリーランスという働き方に引き続き魅力を感じてくれているようです。

今回の調査の結果を見てみると、コロナ禍で「業務に影響があったかどうか」という質問の回答には「非常に影響があった」という方は半数以上でした。また「収入がなかなか安定しない」と答えた方は、beforeコロナ 55.1%に対し、afterコロナ 64.7%と上がっており、コロナ禍において収入に不安を抱いている人は多数いらっしゃいました。

安田

――なるほど。会社員の場合、失業保険など万が一のときの補償があったりしますが、フリーランスには会社員のように補償がありませんよね。フリーランス協会では、フリーランスの方々が安心して働けるようサポートもされていますね。これも収入への不安を解消する一つのリスクヘッジになるのではないでしょうか。協会が提供するベネフィットプランにはどのようなものがありますか?

平田

平田:フリーランス協会としての活動の柱は「互助の場づくり」「共助の仕組みづくり」「公助への働き方」「アドボカシー活動」となりますが、それらの活動はすべて一般会員の皆様の会費によって支えられています。協会の趣旨に賛同し支援してくださる一般会員の皆様への御礼特典として提供している入会ベネフィットは、特に業務遂行中の対物・対人事故や情報漏洩、納品物の瑕疵等に対応した"フリーランス特化型"の補償制度「賠償責任補償」が会員様からも好評です。

賠償責任補償のほか、以下のようなメニューがあります。

  • 無料会員でも「フリーランスDB(データベース)」にプロフィールやポートフォリオを登録することで営業ツールとして利用可能
  • 弁護士相談や研修・コンサルティングの優待
  • 全国のコワーキングスペースをお得に利用可能
  • 健康診断や人間ドックの割引や子育て支援、エンタメ・旅行・グルメ・ショッピングなどの優待が受けられる福利厚生サービス「WELBOX」の利用が可能
  • ケガや病気の際の所得補償(任意加入)
  • 報酬トラブルに関する弁護士費用保険(任意加入)

など、スマートに活躍の場を広げられるメリットもいろいろ。フリーランスやパラレルワーカーであれば誰でも入会でき、年会費は1万円です。フリーランスの皆さん、ぜひご参加ください。(パラレルワーカーについては下記で説明しています)

一本足打法は禁物! キャリアを複線化させる働き方

安田

――このようなベネフィットがある協会に加入することも、コロナ禍でフリーランスのリスクヘッジの一つとなりますが、そのほかにもフリーランスの収入への不安を緩和する方法として「複業(副業)」という働き方があると思います。そもそも複業の定義とは?

平田

平田:2020年5月に内閣官房日本経済再生総合事務局が発表した「フリーランス実態調査結果」によれば、日本には340万〜462万人程度のフリーランスがいると言われていますが、フリーランスの形態は「独立系」と「副業系」に大別できます。

フリーランスの形態図

フリーランス協会サイトから

「独立系」とは特定の企業との雇用関係を一切もたない、比較的イメージしやすいフリーランスの形態のこと。開業届を提出した個人事業主、小規模事業者、定年退職者・主婦・学生のすきまワーカーなどがこれに該当します。

反対に「副業系」はどこかの企業と雇用関係(派遣・アルバイトを含む)を結びながら活動する形態のことです。「どこかに雇用されながら別の会社を経営する」「複数の会社と雇用契約を結ぶ」「雇用されながら個人事業主としての事業所得も得る」など、こちらにもいくつかのスタイルがあります。

最近は、「キャリアの複線化」を意識しながら働く「複業」が増えています。独立系・副業系に関係なく、そのような働き方をする人を「パラレルワーカー」と呼んでいます。

安田

――副業系フリーランスのみならず、独立系フリーランスのなかにも「1つの分野に特化せず、複数の職種・職務に従事する」というパラレルワーカーが増えているのはコロナの影響もあるのでしょうか? また、複業の事例も教えてください。

平田

平田:どこからを「複業」と呼ぶか厳密な定義はありませんが、コロナ以前でももともとフリーランスの世界では「1本足打法はダメ」という定説のようなものがあります。クライアントやビジネスモデルといった収入源に加えて、関わるコミュニティーなど、あらゆる要素を分散化させれば、その分リスクヘッジができます。

ビジネスモデルの複線化の事例には、あるファイナンシャルプランナー(以下、FP)の方はFPとしての事業活動をしながら、ご自分の専門性を活かした講演活動や本の執筆を行っていたり、またフィットネス系のお仕事をされている方が今はオンラインでフィットネス動画を公開したり、指導をしたり......という方も。ライターさんの場合でも、1つの会社・媒体だけを頼ることのないリスクヘッジはとても重要といえるでしょう。

私自身も、フリーランス協会はボランティアの社会活動として設立していますので、収入源という意味では広報アドバイザー、ビジネススクールの教材づくり、出版プロデュース、タレントマネジメント等々、さまざまな顔を持つパラレルワーカーの1人です。

ビジネスマッチングに登録する利点

平田麻莉さん

安田

――複業を行うにあたり、どのようなことから始めたらよいのでしょうか。

平田

平田:基本的には、今まで自分が培ってきた人脈を頼りに、知見・専門性・スキルを横展開していくのがいちばん始めやすい方法だと思います。複業を始める方のきっかけとして意外と多いのは「頼まれたから」

例えば、A社の仕事をしていたことを伝えると「そんなスキルがあるのならば」とB社からも仕事を頼まれた......みたいなパターンですね。やはり、ふだんのお仕事で十分に実績・信用を得て、一緒に働きたいと思ってくれる方を増やしていくのが最も着実な道であり、近道でもあります。

安田

――それは単純に「フリーランスが仕事を増やす方法」にも重なります。その部分は、コロナ前後の複業の探し方と変わらないですね。そこは鉄則なんですね。

平田

平田:当協会「フリーランス白書2020」のデータでも「直近1年間で仕事獲得に繋がったことのある選択肢」の上位は「人脈」(73.4%)と「過去・現在の取引先」(52.3%)でした。

その後に「自分自身の広告宣伝活動」「エージェントサービスの利用」「クラウドソーシング」「求人広告」が続きます。私はそうした「エージェントサービス」「クラウドソーシング」も複業の活路に十分なり得ると思っています。

「仕事はどのようなところから見つけますか。直近1年間で仕事獲得に繋がったことのある選択肢をすべてお選びください」という質問の回答結果

「仕事はどのようなところから見つけますか。直近1年間で仕事獲得に繋がったことのある選択肢をすべてお選びください」という質問の回答結果(「フリーランス白書2020」より)

近年こうした「ビジネスマッチングサイト」は種類も多く、各社でビジネスモデルが異なります。いくつか登録してみて、ご自分に適したサービスを探すのも一手では。

安田

――登録するにあたり基準はありますか? 

平田

平田:まずは、経験やスキルなどすでに自分が持っているものを活かすこと。マッチングサイトによって、ビジネスモデルや得意領域が結構違うので、自分が仲介業者に何をして欲しいのかなど求めるものによって見極めるのが良いでしょう。しかし、サービス登録のメリットは「仕事を見つけられること」以外にも2つあるんです。

安田

――どんなことでしょうか?

平田

平田:まずは「キャリアの棚卸し」ができることです。登録にあたって、自分の実績・強みを振り返ったうえで明文化(文章化)する作業を自然と行うことになります。転職活動のときの「履歴書・職務経歴書」みたいな感覚ですね。

もう1つが「市場調査」です。エージェントサービスなら登録しておけばエージェントの方との面談などから自分の市場価格を知ることができます。クラウドソーシングでも周りの出品者を細かく見ていれば、相場観がわかります。新たにどんなキャリアを積むにせよ「相場を知る」のはとても重要で、きっと複業にも役立つはずです。

コロナ禍で捻出された時間は「絶好の機会」!?

安田

――複業の留意点はありますか。

平田

平田:会社員として副業系フリーランスになることには、ほとんどリスクがありません。複数の会社と雇用関係を結ぶ副業・兼業には労働基準法が定める「労働時間の通算ルール」が適用されますが、業務委託での副業の場合は通算の対象外なので、わりあいフレキシブルに活動できるでしょう。会社が許容する範囲内であれば、どんどんチャレンジしてみれば良いと思っています。

留意点は、独立系・副業系どちらにも言えることですが、複業を始める際は「自分がビギナーである」と自覚することが肝心です。

新しいビジネス・職種にチャレンジするときは「慣れない」状態にありますから、これまでの感覚でどんどん仕事を引き受けてしまうと、多かれ少なかれキャパシティオーバーを引き起こします。すでに本業で手一杯のときに新しいことを始めてしまうと本業・"複業"の両方が立ち行かなくなることもある。ご自身のキャパシティについて十分に熟慮のうえ、計画的に行動することをおすすめします。

安田

――そういう意味では、今というこの時間は絶好の機会かもしれませんね。コロナ禍で仕事が減った人は、その分、たくさんの時間を捻出できますね。この部分がコロナ前後で変わったところと言えるでしょうか。時間があれば、棚卸しや市場調査もでき、自己投資の時間だと割り切って行動すれば納得もいきます。

平田

平田:おっしゃる通りですね。2020年4月、当協会アドバイザリーボードを務める花田光世先生(慶應義塾大学名誉教授)に「今、わたしたちにできること ピンチをチャンスに転じる、アフターコロナのキャリアづくり」と題したオンライン特別講義をしていただいたのですが、そのとき先生は「この時間を自己投資やインプットに使え」とおしゃっていました。生活していくためのお金を稼ぐのは大前提ではありますが、変に焦って営業活動に注力するよりは、新しい"ビジネスの種"をつくる時間に充てるのが得策なのでしょうね。

コロナ禍でもフリーランスという働き方を続けたいと思っている人が多かったのはちょっと意外でした。しかし、一方で仕事や収入が減るという不安を抱える人も少なくありません。フリーランス協会のベネフィットも活用しながら、2つの本業を持つ複業にも挑戦することで、複業が"福"業になるのではないでしょうか。

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この記事の執筆者

安田博勇
安田博勇

1977年生まれ。大学卒業後に就職した建設系企業で施工管理&建物管理に従事するも5年間勤めてから退職。出版・編集系の専門学校に通った後、2006年に都内の編集プロダクションに転職。以降いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。

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