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「コロナ禍で仕事の不安や孤独を感じる...」そんなフリーランスがコミュニティに入る意義とは?

公開日:

執筆者:弥富文次

「コロナ禍で仕事の不安や孤独を感じる…」そんなフリーランスがコミュニティに入る意義とは?

withコロナでリアルの場に集まる機会が少なくなった今、フリーランスは特に、人との「つながり」を意識するようになったのではないでしょうか。ずっと家や近所のカフェにこもって仕事をしていると、だんだんストレスが溜まってきたり、孤独を感じることもあるかもしれません。

そんな背景から、緩やかに人とつながれる「コミュニティ」に注目が集まっています。一体コミュニティとはどんなものなのでしょうか。また、属することの効果や意義には具体的に何があるのでしょうか。

そこで今回は、ベンチャー企業、経営者、そしてフリーランスと様々なキャリアを歩んだのち、コミュニティ「FreelanceNow」や“問いでつながるコミュニティ”「議論メシ」を立ち上げたコミュニティデザイナー・黒田悠介さんにお話をうかがいました。

(※この取材はオンライン会議ツールを使用し、リモートでインタビューしたものです)



黒田悠介(くろだゆうすけ)

黒田悠介(くろだゆうすけ)

ディスカッションパートナー、コミュニティデザイナー。コミュニティ「議論メシ」主宰者、フリーランスコミュニティ「FreelanceNow」の発起人。以前は「文系フリーランスって食べていけるの?」というメディアを運営するなど「フリーランス研究家」として働き方の多様性を高めるための活動も行ってきた。東京大学文学部心理学卒業。ベンチャー企業の社員からキャリアカウンセラー、フリーランス研究家を経て現在に至る。
黒田悠介 公式サイト
議論メシ
FreelanceNow   

「個」から「コミュニティ」の時代に

――黒田さんは以前、サラリーマンだったこともあるそうですね。現在はコミュニティデザイナーやディスカッションパートナーといった肩書きで活動されていますが、まずフリーランスになろうと思ったきっかけを教えてください。

黒田悠介さん

黒田悠介さん(以下、黒田):きっかけは前職でキャリアカウンセラーだったときの体験です。当時はトータルで1000人ほどの学生さんとキャリアについてディスカッションしていたのですが、あるとき学生さんに「フリーランスになるのはどうですか」と聞かれたことがあって。私はその質問にあまりうまく答えられなかったんです。

そこでいろいろ調べてみたのですが、「最高だ」という声から「超大変だ」という声までさまざまで、結局フリーランスとしての生き方をどう評価すべきか、よくわからなかったんですね。だったらやってみるしかないと思い、自分自身を実験台にするつもりで2015年30歳のときにフリーランスになりました。

――体験してみるしかない、ということでフリーランスになられたんですね。そこから現在の肩書き「コミュニティデザイナー」に至るまではどのような過程があったのでしょう。

黒田悠介さん

黒田:フリーランスのキャリアってどうなの? という問いが起点にあったので、最初は「フリーランス研究家」という肩書きで活動を始めました。そして「文系フリーランスって食べていけるの?」というメディアを運営したり、イベントに登壇してフリーランスの活動について語ったり、企業にフリーランス活用のアドバイスをするなどの仕事をしていました。

しかし、続けるほどだんだん「1人でやるもんじゃないな」と思い始めて。フリーランスは「自分株式会社」を運営しているようなもので、経理も営業もビジョン策定もすべて1人でやらなければいけません。また、1人で受けられる仕事は規模も小さくなりがちで、大きな仕事や面白い仕事をやりたいときに困るな、と気づきました。

よりよい仕事のためにはやはりチームの存在が必要になってくる。そう考えて注目したのが「フリーランスのコミュニティ」です。一時期は「個の時代」とも言われていましたが、これからは組織でもなく個でもない、振り子の中間くらいにある「コミュニティ」がもっと必要なのではないかと思い始めました。

そこで2017年にフリーランスの方向けに、仕事やさまざまな案件が集まる「FreelanceNow」というコミュニティを立ち上げ、同年の11月には"問いでつながるコミュニティ"「議論メシ」を立ち上げたんです。

「ごちゃまぜの議論」が生み出すコミュニティの価値とは

黒田悠介さん

――メインで運営されているコミュニティ「議論メシ」とは面白い名前ですが、中では一体どんな活動が行われているのですか?

黒田悠介さん

黒田:議論メシはもともと、私が行っている企業の新規事業立ち上げをサポートする「ディスカッションパートナー」の活動がきっかけで始まったものなんです。

当初、ディスカッションは基本、経営者と私の1対1で実施していましたが、やっていくうちに私1人では答えられない難しい問題が出てきて。例えばある私鉄沿線の2040年の都市開発についてアドバイスを求められたりしましたが、専門知識がないのでわからないわけです。

そこで、沿線の町に住んでいる主婦や保育士、あるいはその領域の専門家などいろんな人たちをディスカッションに連れてきて、「ごちゃまぜの議論」をしたんですね。すると、都市開発についてだけではなく子育てしている目線など、多面的な視点で議論が盛り上がった。それがとてもクライアントに受けたんです。

さらに、副産物みたいなかたちでディスカッションに参加した者同士が仲良くなります。そして生まれたアイデアを参加者同士でプロジェクト化する話も起きるなど、全く違う領域の人たちが議論を通じてつながっていく。その様子を見て、これは可能性があると感じました。

そこで、いろんな分野の人が関わり合う「ごちゃまぜの議論」が頻繁に起こる状況を作ろうということで、コミュニティとして「議論メシ」が誕生したのです。

――なるほど......!「ごちゃまぜの議論」によって付加価値が生まれていくのはとても面白いですね。

黒田悠介さん

黒田:そうなんです。現在、「議論メシ」では月に10回ほどイベントを開催し、その際は毎回メンバーがテーマを提案します。

例えば、経営者であれば自社の新規プロダクトに関する意見が欲しいとか、会社員であれば今後のキャリアについてアドバイスが欲しい、などと議題を挙げます。するとそれについて、例えばデザイナーが経営者にモックアップ画面を見せながら提案したり、コンサルタントがキャリアのアドバイスをしたりする。このように参加者がいろんなアイデアを出し、全員で議論していくかたちです。

――基本的なことも教えていただきたいのですが、例えばコミュニティに入るには参加費や入会金は必要なのでしょうか?

黒田悠介さん

黒田:「議論メシ」は、いわゆるサブスクリプション形式で、月額でお金をいただいています。価格は初月無料です。以降は、通常会員は4000円で学割が2000円、一番高いプランだと毎月2万円。入退会は自由なので入れ替わりはありますが、登録者はコンスタントに230人ほどとなっており、16歳の学生から定年退職後した60代の方まで幅広い方が参加しています。

――5、60代と年代が高い方も参加されているんですね!

黒田悠介さん

黒田:そうですね。「議論メシ」は職種で限定もしていませんし、年齢や性別で絞ることもありません。対話の価値を信じる人であれば誰でもOKです。だから本当に多様な人たちが、立場に関わらず参加できるコミュニティですね。

コミュニティに入るメリットは?

――議論メシのコミュニティの特色としては、どんな方がどんな目的で参加しているのでしょうか?

黒田悠介さん

黒田:構成比ではおおよそ、フリーランス3割、経営者3割、会社員3割、学生1割となっており、それぞれ目的が違ってきます。

学生の参加目的としては、いろんな社会人と出会って自分のモデルケースを探したり、新しい働き方や生き方、考え方を知りたいという点が主にあるでしょう。

また、フリーランスは主として仕事を得る目的があります。「議論メシ」では企業の方と一緒にディスカッションする場面も多いので、スキルや経験を示すことで後々仕事になるケースもありますね。

会社員にとっては、会社と家以外のサードプレイスとして捉えている方が多い印象です。また、副業の可能性を探っている方もいますね。会社員の副業は最初から稼ぐのはけっこう難しいので、とりあえずコミュニティに入って自分はどんな価値提供ができるかを試す目的があります。「役割の試着」という言い方をしているのですが、コミュニティの中で自分の服を着替える感覚で新しいことをやってみて、見つけた価値を副業にしていく。それはフリーランスでも同じですね。

経営者の場合はいろんな方の考え方に出会い、自社の事業の参考にしたいという目的があります。自社のプロダクトをテーマに大体200人がディスカッションするので、200人の顧問がいるようなもので、頼もしい状況だと思いますね。

そうやって皆それぞれちょっとずつ違う目的で来ていますが、ベースとしては純粋に楽しいことが重要です。議論して何か新しいアイデアが出てきたら楽しいですよね。テニスのラリーのようにいろんな言葉が飛び、スポーツをしたあとの気持ちいい疲れがある感じ。なので参加者にとっては、議論メシはおそらく自分が積極的に参加できるエンターテイメントなんだと思います。

また、コミュニティのいいところは参加者にとっての精神的な支柱としての機能を果たす点だとも思いますね。日本は宗教もそんなに強くないですし、地域コミュニティや家族、会社もコミュニティとしての持続性や求心力が弱まっている。そんな今、居場所のひとつとしてコミュニティが求められているなと思っています。

――その他にも参加するメリットはありますか? 例えば、資金調達や確定申告など現実的な悩みについても相談し合える、といったこともあるのでしょうか?

黒田悠介さん

黒田:お金の話が直接的なイベントのテーマになることはあまりないですね。ただ、イベントで出会った人たちがそのあと個人的に会って、相談し合うようなことはあると思います。重要なのはイベントで何をするかではなく、イベントを通じて人がつながっていくこと。その後の非公式な活動が起こるのがコミュニティの非常に面白い点です。

――議論メシのイベントでは、黒田さんはファシリテーターのような立ち位置で参加されているんですか?

黒田悠介さん

黒田:そうですね。ただ、イベントに私自身が参加しないことも多いので、ファシリテーションは役割のうちの半分です。

もう半分は、メンバーの背中を押したり焚きつけたりするような役割ですね。例えば、何かテーマを提案したいと思っていても、コミュニティ内でイベントを起こす人は、「この課題でいいのか」「我欲のためにコミュニティを乱用していると思われるんじゃないか」など不安に思っている人も多いんです。

ただ、何かやりたそうな人には予兆があって、直接メッセージを送ってきてくれたりとアクティブになっています。そして話を聞いてみると、実は最近転職して、今こういうプロジェクトに関わってるんです、みたいな話が出てきます。

そうしたら、じっくり時間を取ってその人と話し、プロジェクトをテーマに「議論メシ」でイベント化して、仲間やアイデアを集めましょうよと提案します。このように誰かの火種を見つけて、それを焚き火にして、たくさんの人が集まるようにする。焚き火に人が集まれば、あとはもう自然と話は進んでいくので。

仕事を得られるコミュニティの活かし方とは

――コミュニティ内で仕事を得やすい人には特徴があるのでしょうか? 例えば職業なのか、あるいは肩書きなのか。

黒田悠介さん

黒田:職種による差はあまりないですね。一番の特徴は大きく言ってしまうと「ノリの良さ」かなと思います。

どういうことかと言うと、コミュニティの中の活動って最初はお金になるかどうかは読めないんです。特に自分の役割を試す際は、お金のやり取りはせずに依頼するケースもあります。そのとき「お金にならないならやりません」という人はあまりいい流れに乗れない傾向がありますね。

最終的に得るものがもっとも多いのは「Giver」、つまり積極的に自分のスキルをGiveしていく人です。短期的にお金を得ようとする「Taker」ではなく、まずは自分のできることで貢献する、中長期的な視点を持てる人が仕事を持続的に得ている場合が多いと思います。

――一方で、自分に合ったコミュニティを見つけるのは難しいことのようにも感じます。フリーランスはどのようにコミュニティを選ぶべきでしょうか?

黒田悠介さん

黒田:正直、結局中に入ってみないとわからない部分はあるので、周りでコミュニティに入っている人からの口コミで選ぶのが一番確実だと思います。それでもやはり、入ってみたらイメージと違ったという場合もあるので、いくつか試してみてもいいかなと思いますね。ちなみに「議論メシ」は、初月無料なので、その1か月で様子を見て、判断してもらうことができます。そして、自分に合わなかったら抜けてまた別のコミュニティを探すのもいいと思います。

ただ前提として、コミュニティの色は事前にちゃんと見極めるべきです。ひとつの分類として、コミュニティは「ハブ型」か「メッシュ型」かで性質が違います。「ハブ型」はつまり中央集権型で、主催者がインフルエンサー、参加者はフォロワーというかたち。こうしたコミュニティでは主催者のインフルエンサーが参加者の憧れの存在だったりするので、発信される情報に価値がある形態です。

一方で「メッシュ型」は、メンバー同士が縦横無尽の網目状につながっているような形態で、情報というよりはコミュニケーションやコラボレーションがメインコンテンツになります。議論メシはこのタイプで、中央にいる主催者は運営に徹しているコミュニティですね。

このようにハブ型かメッシュ型か、言い換えれば中央集権型か自律分散型か、というコミュニティのタイプがあります。自分が求めているのはインフォメーションかコラボレーションかを見極めてコミュニティを選ぶとよいかもしれません。

「コミュニティのポートフォリオを作る」コロナ時代の渡り方

黒田悠介さん

――コロナ前後でフリーランスやコミュニティには変化がありましたか?

黒田悠介さん

黒田:オンライン化が進み、フリーランスは仕事が取りにくくなったという点がひとつありますね。課題は偶然の欠如だと思います。イベントでたまたま隣に座って仲良くなるとか、コワーキングスペースで共通の知り合いが紹介してくれて仕事につながるなど、リアルでよく起きていた偶然はなくなってしまいました。

しかし、オンライン化にもいいことはあります。「議論メシ」も今はオンライン開催ですが、コロナ以前は、例えば「渋谷で19:30から開催」のようにリアルの場で行なっていました。でもそれって、今考えるとかなり高いハードルを課していたなと思います。オンラインだったらZoomでパッとつなげば参加できるので、今は地方や海外に住む方、子育て中の方なども参加してくれるようになり、多様性がとても高くなりましたね。

その他にも、コロナ禍でスキルシェアリングなどのサービスを使って、単発の仕事を得るギグ・エコノミーも台頭していますし、最近だとyentaやbosyuなどのビジネス系マッチングアプリを使うことも増えてきたなど、オンライン化による利点はあります。

時代が変わる中で、オンラインで自分の価値をどう伝えるか考え、対応しているフリーランスは安定的に仕事が取れている印象があります。逆に自分の価値はリアルにしかないと決めつけてしまうとやれることがなくなってしまい、厳しい状態になるかなと思います。

――では、今後フリーランスとして仕事をする上で、どのようなことを意識すればよい働き方、生き方につながると思いますか?

黒田悠介さん

黒田:いろいろな観点がありますが、やはり物事を中長期的な視点で考えるのが重要だと思います。また、フリーランスには自分の成長を願ってくれる上司がいません。そこにかまけて手前の仕事をやっているだけだと、自分のトレーニングがなかなかできず自転車操業になってしまいます。

成長していくためには、未来に向けた種まきが非常に大事です。例えば、ちょっと背伸びをして難しい案件にチャレンジしたり、コミュニティで試しに「役割を試着」してみるなど、種を蒔いておく。そして発芽するまで待つような気長なプランが必要ですね。

ただ、それだけだと発芽の前にご飯が食べられなくなってしまいます。ライスワークとライフワークすなわち、今稼ぐ仕事と中長期的に発芽するかもしれない仕事の両方をしっかりと意識するのがいいのではないでしょうか。

――目の前のライスと長期的なライフの切り分けが重要......納得感が高いです。最後に、これからフリーランスを目指す方々にもアドバイスをいただけますでしょうか。

黒田悠介さん

黒田:最近は副業も推奨されていますが、あれは複数のコミュニティに所属すべきということだと私は思っています。もう少し言うと、「コミュニティのポートフォリオ」を持ちましょうということです。

例えば、お金を得るのはコミュニティAから、やりがいはBから、安らぎはCから......というようにコミュニティごとに目的を分けて、全体として自分が欲しいものを得られるようにするといいと思うんですよね。ひとつの仕事ですべてを揃えようとするのは相当無理があるので、ポートフォリオ的な考え方がいい気がしています。

その中のひとつに「議論メシ」や「FreelanceNow」があればうれしいですし、もしかしたら例えば地域にコミットすることがやりがいを生むかもしれません。ポートフォリオにはいろんな種類があっていいと思いますね。

――「コミュニティのポートフォリオ」というのはわかりやすい表現ですね。

黒田悠介さん

黒田:私はコミュニティがもっと世の中に増えたらいいなと思っています。「議論メシ」は対話の場を作っていますが、議論のテーマを絞ればiPS細胞みたいにコミュニティが分化できるはずなんですよね。

例えば、業界ごとに区切ればそれだけでひとつコミュニティができますし、職種だったら例えばデザイナー版の「議論メシ」、あるいは中高生版の「議論メシ」なんかもできそうです。

そうやってコミュニティが増えていけば、人それぞれ自分に合う場所がひとつくらい見つかる世の中になると思うんです。すると孤独や分断、生きにくさが少しずつ解消されていくのではないかと思います。

今は個の時代と言われますが、冒頭でも言ったように、今後はコミュニティの時代になっていくと思います。自分に合ったコミュニティを活用してやりたいことを実現する方法を考えていくと、今の時代がかなり生きやすくなると思いますよ。

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この記事の執筆者

弥富文次
弥富文次

93年生まれの編集ライター。大卒でWebメディア系企業に勤務し、その後フリーランスに。
手がけた領域はビジネス(市場調査やマーケティング、データ分析)やエンタメ(ゲーム)、読書など。
・ツイッター:@writer_yatomi

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