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MEBIC副所長に聞く!クリエイターが取り入れたい営業と発信のコツ

公開日:

執筆者:二木繁美

MEBIC副所長に聞く! クリエイターが取り入れたい営業と発信のコツ

創業期のデザイナー・クリエイターを支援するインキュベーション施設、大阪デザイン振興プラザ(ODP)で所長を務める増見浩一朗さん。大阪府のクリエイターを支援するメビック(MEBIC)でも、副所長としてクリエイターと企業をつなぐ活動を続けています。

そこで今回は、13年間で3,000人以上のフリーランスクリエイターの話を聞いてきたという増見さんに、クリエイターの営業方法や仕事の単価を上げるコツについてうかがいました。

※インキュベーション:事業の創出や創業をサポートし、その成長を促すこと



増見 浩一朗(ますみ こういちろう) プロフィール

増見 浩一朗(ますみ こういちろう)

1970年生まれ。神戸市在住。機械部品メーカー、自動車情報誌の営業・営業企画を経て、大阪産業創造館へ。その後、大阪市とATC(アジア太平洋トレードセンター )が創業期のクリエイター支援を目的に設置する、大阪デザイン振興プラザ(ODP)の所長に就任。クリエイターのコーディネート施設であるメビック(MEBIC)のコーディネーターも務め、約13年間にわたってクリエイターをサポートしつづけている。

異業種のクリエイターによる横のつながりが、新たなチャンスを生み出す

増見さんがメビックでインキュベーションマネージャーとして活動しはじめたのは、2007年のこと。中小企業向けのサポートを行う、大阪産業創造館からの異動でした。

その後メビックは、施設の移転に伴ってインキュベーション機能を廃止し、人をつなぐ場としての機能に専念することに。増見さんもコーディネーターとなり、クリエイターのネットワークづくりや情報発信、他業種とのビジネスマッチング、プロデュース能力向上などをサポートしています。

MEBIC副所長 増見浩一朗氏

「メビックが誕生した2003年当時、所在地の扇町はクリエイターが多い地域でした。しかし、クリエイター同士の横のつながりは希薄で、下請け的に仕事をしている人も多い印象でしたね。

独立したてのクリエイターの中には、とりあえず飛び込み営業をする人もいます。ただ、営業のタイミングでは、企業がクリエイターを求めているかどうかはわかりません。求められていないところに売り込んでも、仕事にはならずに消耗するだけで、効率的ではありませんよね。なかなか結果につながらない日々が続くと、クリエイターも自信をなくしてしまいます。

そういう話を聞くなかで、私たちは、異業種のクリエイター同士の横のつながりこそ大切なのではないかと考えるようになりました。そして、さまざまなイベントやセミナー、交流会を開催し、ビジネスのマッチングだけではなく、異業種のクリエイターをつなげて新たな広がりを作ることを目指したのです。

クリエイターにとって一番の営業は、まずは人と、特に異業種のクリエイターとつながることだと思います。仕事が少ないときこそ積極的に動くことをオススメします。最近は、オンラインイベントなども充実していますからね」

「何でもやります」をやめて、「紹介したくなる人」になる

一口にクリエイターと言っても、いろいろな方がいます。増見さんが普段会っているクリエイターとは、どんな方たちなのでしょうか。

MEBIC副所長 増見浩一朗氏

「メビックにおけるクリエイターの定義は、『クライアントに対してクリエイティブを提供する人』です。イラストレーターやデザイナー、カメラマンのほか、家具職人や植物を使ったグリーンディスプレイをする方など、さまざまなクリエイターがメビックに集っています」

どんなクリエイターでも、仕事が欲しくてつい言ってしまいがちなのが「何でもやります」という言葉。けれど、それが逆効果を招くこともあるようです。

「仕事を獲得するためには、そのジャンルで相手の引き出しの3番目までに入る必要があります。『何でもやります』は、実は引き出しの順位を下げる行為になってしまうんです。最初のうちはそれでもいいでしょう。しかし、仕事を続けていると、やりたいことを自分の言葉で語るべき場面が必ず来る。そういうことに向き合う機会を意識的に作ることが、結果的に仕事にもつながります。

相手の要望に合わせすぎて、自分のできること・やりたいことの発信が漠然としすぎていると、逆に相手に伝わりにくくなってしまいます。

自分がやりたいことについては、難しく考える必要はありません。要は自分が『紹介したくなる人』になればいい。自分の好きなもの、仕事内容、得意分野をしっかりと語れるようになる。そうすれば、自然とそういう仕事の紹介が増えてくると思います。

『何でもやります』をやめると仕事が来なくなるのが怖いという人は、『何でもやります』の後ろに『○○が得意です』という一言を添えてみてはいかがでしょうか。自分ができること、やりたいことをプラスするだけでも、かなり変わってきますよ」

自分がクリエイターとしてどうありたいかを考えた発信が大切

紹介したくなる人になるために、クリエイターが実行しているブランディングには、どんなものがあるのでしょうか。

「誰でもすぐにできる方法として、SNSを使った発信があります。例えば、イラストレーターなら、TwitterやInstagramに毎日イラストをアップする。PRというより、自分を鼓舞するために課している人もよく見かけますね。ベテランのイラストレーターで、毎日イラストをアップしている人もいます。

ライターだったら、自分が書いた記事はもちろん、どこへ取材に行ったか、いま何に興味を持っているかを発信する。そうすることで、発注側がその人に依頼する仕事をイメージしやすくなるんです。ほとんど営業をしないのに仕事に困らない人は、こういう発信をしっかりしているケースが多いですね」

SNSでバズりを経験して、それがチャンスにつながる人もいます。いろんなクリエイターに関わる増見さんから見た、バズる発信を生み出すコツはあるのでしょうか。

「SNSでバズる人は、投稿の一つひとつをものすごく考えて発信しています。TwitterやInstagramといったプラットフォームごとに発信する内容を変えていたり、これと決めた一つのことを突き詰めて発信したりして、普段から努力している人です。大勢のなかでも印象に残る人は、自分のブランディングがキチンとしている。自分がクリエイターとしてどうありたいか、その芯がしっかりしているんです。

アピールすることを思いつかない人は、趣味やボランティアなど、仕事以外のことを発信するのもいいと思います。私たちが人をつなぐときも、そういう共通点がきっかけになることも多いんです。好きなものが同じ人には共通言語がありますから、つながりやすいんですよね。

さらに、好きなものを発信しておくと、不思議と周りに『その人を喜ばせたい、その夢をかなえてあげたい』と思う力が生まれます。そして、勝手にコーディネーター化して、よい方向へつなげてくれる。いつもしていることが、自然と自分のブランディングになるんです。ストレートに『仕事をください!』と売り込むよりも負担が少ないですし、仕事の紹介も増えるかもしれません。もちろん、ちゃんと仕事ができることが大前提ですけどね」

どの部分からどう関わるか。自分の立ち位置を明確に定める

クリエイティブは費用対効果がわかりにくいもの。フリーランスクリエイターの悩みの一つに、見積もり金額の出し方があげられます。見積もりを出すときに考えたいのは、クライアントが気持ちよく払える金額かどうかということ。

「クリエイターによって、立ち位置はさまざまです。ずっと現場で制作している人もいれば、制作を他人に任せ、ディレクションやマネジメントに専念する人もいます。

仕事を続けていれば、いつかは自分がクリエイターとして、どの立ち位置にいたいかを考える時期が訪れます。ただ、どんなポジションがあるのかがわからなければ、自分の立ち位置を決めるのは難しいですよね。イベントやSNSなどを利用して、たくさんの人に会って話を聞くことで、自分が目指す立ち位置を定めることも大切だと思います」

MEBIC副所長 増見浩一朗氏

そして、制作の部分だけを担当するよりも、企画の立案やディレクションなどより広い範囲で関わったほうが、単価が上がる可能性は高くなるとのこと。

「制作だけなのかディレクションも手がけるのか、どういう立ち位置で、どの時点から参加するのか。見積もり以前に、自分がどんな価値を提供できるかを、しっかりとクライアントにプレゼンする必要があるんです。

例えば、同じイラストレーターでも、作家性を高めてやっていくのか、いろんなタッチで描いて使い勝手のよさを売り込むのか。どちらの立ち位置でやっていくのかで、仕事の単価は変わってきます。

さらに、売れっ子と言われる人は口をそろえて『仕事が仕事を呼ぶ』と話します。引き受けた仕事に対して、ほんの少しでもいいので、クライアントが期待していた以上の満足を提供する。この人に頼んでよかったという納得感が、次の仕事の依頼を後押しするんです」

相談し合えるつながりが、仕事に安定感をもたらす

フリーランスになると、お金やマーケティング、経営のことなど、一人で解決しなければならないことも増えます。そんな人たちが頼れる場所はあるのでしょうか。

「地域の商工会議所や行政機関には、個人事業主用の創業担当の窓口や無料相談所があり、フリーランスのクリエイターも対象です。また、資金繰りなどで困ったときには、補助金や助成金、融資の制度も利用できます。

メビックがある大阪産業創造館のように、融資や助成金を受けるための『事業計画書の書き方セミナー』などのイベントを開催しているところもあります。独立する前に、何かがあったときにすぐ相談できる窓口を調べておくと、心強いと思いますよ」

MEBIC副所長 増見浩一朗氏

筆者がフリーランスとして活動を始めた当初は、なかなか案件を受注できず、仕事量が安定しないことに不安を抱えていました。増見さんから見て、安定して仕事を受けている人の共通点には、どんなものがあるのでしょうか。

「何かあったときに声をかけてくれる人がいるかどうかですね。例え単発の仕事でも、それが月にいくつかあれば収入はある程度安定します。ネットワークの広い人は、困ったときでも人とのつながりに助けられています。

そして、自分自身が相談しやすい人になることも大切です。案件が発生したときに、『とりあえずこの人に聞いてみよう』と思ってもらえると、いろんなところから声がかかるようになりますよね。

メビックでは利用者を対象に、メビックでの出会いをきっかけに生まれた、コラボレーション案件についてのアンケートを実施しているんですが、その結果、出会いから生まれた仕事の総額は年間で億を超えることがわかっています。クリエイター同士のつながりから仕事が生まれることが、こうしてしっかりと数字にも出ているんですよ」

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この記事の執筆者

二木繁美
二木繁美

愛媛県出身のパンダ好きフリーライター。グラフィックデザイナーを経て、ライター・イラストレーターとして独立。トラベル系の取材記事や企業オウンドメディアのコンテンツ作成、インタビュー記事の執筆を得意としている。

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