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会社にとって無理のない給与の決め方

公開日:

執筆者:松波 竜太

事業継続のために毎月考えておかなければならないのが「固定費」、さらに大きな比率を占める「給与」。従業員に働きの対価として渡す給与ですが、それは時に企業の経営の首を絞めることにもなります。会社にとって無理のない給与設計のコツをお伝えします。



会社の舵取りにおいて、毎月必ず支払わなくてはならない「固定費」ほど、そのハンドリングが難しいものはありません。売上が上下しようとも、手元に資金が増えようがなくなろうが、固定費を急に削ることができないためです。

そこで、固定費の最たるものである「給与」「賞与」について、どのような設計をすれば資金繰り......ひいては会社運営が楽になるのかについて説明していきます。

給与を調節するために賞与制度をつくろう!

一般的に会社の経費で一番大きい項目は仕入です。次に大きいのが給与ということになります。

数かずの会社を見てきましたが、つぶれそうになる会社は、給与が高過ぎる傾向があります。ルール決めが曖昧で、利益に見合わない給料の設定をしてしまう企業は危険なのです。

最終的に会社がつぶれてしまうと従業員に一番迷惑を掛けてしまいますので、企業の存続を一番に、公平かつシンプルな給与体系を早めに構築しておきましょう。

固定給を抑えて、なるべく賞与で利益を還元していくというようなタイプの給与体系が理想です。

給与を決める前に...必ず考慮すべき3つのポイント

給与を決定する前に考慮しておくべきポイントが3つあります。

給与を決定する前に考慮すべきポイント

従業員が残業を一切せず、有休もまったく使わないなどを前提に給与を決めていたりすると、会社の首がどんどん絞まっていってしまうことになります。

最近、残業代を払わず、未払い残業代を請求される企業が増えています。これでは従業員の人数が多いと会社は潰れてしまいます。

ですから、残業代は必ず発生するという前提で給与規程を決めていかないと厳しくなります。

モチベーションだけでは利益はあがらない!? 賞与は余剰利益で分配しよう!

また、賞与や昇給は意外とモチベーションにつながりにくいものです。

もちろん、給与水準が低すぎて他社に移ってしまう人が多いようでは問題ですが、給与を上げたからといって利益が上がるということはありません。

従業員の見えないモチベーションにはなっているかもしれませんが、社長たちが思っているほど従業員の人件費の上昇は会社の利益に貢献しないということだけは押さえておきましょう。

その抑えた分を、なるべく賞与で還元することをおすすめします。

税金も社会保険もかからない!? 従業員に最もお得な「退職金」

もう1つ、おすすめなのが退職金制度です。実は退職金は税金的にも社会保険的にも、最強の受け取り方なのです。

税金面では、退職所得控除という控除があり、一般的な中小企業が払う退職金であれば、従業員は非課税で受け取れます。また、退職所得控除を使い切ってしまっても、退職所得控除後の金額を半分にして、そこに税率を掛けます。つまり、税率が給与の半分ということになります。

さらに、社会保険も掛かりませんので、どこか貯金するぐらいだったら、退職金を積んでおくことをおすすめします。

さらに、優秀な従業員にずっといてほしいということであれば、自己都合退職の場合は退職金を低く、逆に、定年退職までいてくれたら高くなるというような退職金の制度設計にすれば、定着率が高まります。

なぜ、企業の昇給は7月に多いのか?

昇給を7月にすると、昇級後においても昇級前の標準報酬が使え、社会保険料で少し得することが多くなります。

社会保険は4、5、6月の3カ月の平均給与を元に計算する「算定基礎」によって、1年分の保険料が決まる仕組みになっています。また、その決まった額から2等級以上あがったら、社会保険の改訂の届けを出さなくてはいけないという決まりになっています。

しかし、2等級というと1万円~12万円ぐらいの幅がありますので、昇給を7月にしておけば、これがきっかけで社会保険があがることは珍しいと言えます。

社会保険料は会社と従業員が折半して納めることになりますので、会社にとっても、社会保険料の負担が小さいということはハッピーなのです。

役員報酬は毎月決まった額で計上しよう

あわせて考えたいのが、役員報酬の決め方です。

役員報酬は法人税法で毎月決まった額でということが決まっています。定額以外で払うと、一番低い月を基準にそれより多い部分を会社の経費にすることができません。

また、役員に対する賞与も会社の経費にはなりません。事業年度のはじめに税務署に届け出ると経費になるという制度もありますが、事業年度のはじめに届け出るのだったら、会社の利益調整には使えない訳ですから、定額に含めて支払っても同じことになります。

事業規模によりますが、役員報酬の相場は100万円ぐらいでしょう。

役員報酬増額によるデメリットを知っておこう

法人税を減らすために役員報酬を増やそうとする企業は多く存在します。しかし実は、役員報酬というよりも、給与に対する税金は意外と高いのです。月給ベースで100万円ぐらいだと、社会保険の会社負担分まで入れると年500万円以上持っていかれてしまうことになります。

これに対し、役員報酬で受け取らずに月100万円×12カ月を会社に残した場合、支払う法人税は465万円となり、60万円程度の節税が可能です。

法人税を払うことで節税もでき、会社に利益を残すことができますから、のちのち銀行から融資を受ける場合にも有利になります。

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この記事の執筆者

松波 竜太
松波 竜太

会計事務所業界に20年、税理士資格取得後独立し16年間となる。

500社以上の中小企業に関与し、特に資金繰りと銀行交渉については113社をサポート。
お客様の手元資金をサポート前の最大17倍(平均3倍)金利は1/2以下とした目からウロコの手法を、誰にでもできるよう再現性のあるセオリーにまとめ、書籍「借入は減らすな!」(あさ出版)、「その節税が会社を殺す」(すばる舎)などを執筆。
「決算書が読めない経営者でも銀行交渉ができる」をコンセプトに説明資料の準備から、アピールすべき点、想定される質問、さらには交渉の継続判断など具体的な「次の一手」をアドバイスし、中小企業経営者から絶大な信用を得ている。

ホームページ https://sintosin.pro/

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