契約書チェック時に知らなければならない3つの最重要ポイント

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「契約書を読まずにサインするのはダメ」と、抽象的には理解しているけれど、実際問題として何を読めば良いのか分からないし、相手を信頼してサインしてしまう……なんて人も多いはず。しかし、これは非常に危険です。契約書をどのようにチェックすべきなのか。特に重要な3つのポイントに絞って解説します。


なぜ契約書をチェックすべきなのか

スモールビジネス事業主は、「信頼関係」をベースに仕事を行うことが多いはず。そして、お互いの信頼関係で仕事が進んでいくなら、特に問題はない......とも言えます。しかし、契約書が登場する場面では、「信頼関係」だけでは足りません。渡された契約書の中には、万一のトラブル発生時に相手側が有利になるような条項が書いてあるかもしれません。そうした契約書にサインをしてしまい、トラブルが発生してから「相手を信頼してサインしたのに!」と訴えても、もう後の祭りです。サインをする前に、渡された契約書をチェックする必要があるのです。

ただ、「契約書をチェック」と言われても、何をどうチェックすれば良いのか分からない人が多いはず。契約書をチェックする上で特に重要な、3つのポイントを押さえておきましょう。

ポイント1:契約書は「想定通りいかなかった場合の処理」を決めているか?

ある契約を行う場合には、例えば、「まず自分が相手に前金を支払い、相手が商品を仕入れてきて、残金と商品を交換する」というような、何らかの「手順」が想定されているはずです。そして、契約書にはその手順が記載されているはずです。

しかし、契約書において真に定めておくべき事は、「全てが想定通りに進む場合の手順」ではありません。「想定通りいかなかった場合の処理」です。

未来は、樹形図のように、様々なパターンがあります。例えば、商品仕入れが月末までに行われるはずなのに、船便が遅れて間に合わなかった場合は?

契約書作成にあたり想定しておくべきパターン

「様々なパターン」について契約書で明確に......なるべく自分に有利なように......決めておけば、万一トラブルになった場合も、最終的に裁判に訴えれば「勝つ」ことができます。そして、「裁判になったら負ける」と分かっていれば、相手も契約通りに動いてくれるでしょう。この意味で、良い契約書には紛争防止の機能もあるのです。
渡された契約書は、本当に「樹形図の全パターン」を想定しているか。まずは、この点をチェックしましょう。

ポイント2:相手が契約を守らない場合にどうなるのかが決まっているか?

契約を守らないことは、犯罪ではありません。従って、契約書に「相手方は自分に対して●●をしなければならない」などと書いてあるとしても、相手方が本当に「●●」をしてくれるとは限りません。相手方は契約後に、「原価が高騰したのだから、●●をしない方が得だ」などと考えるかもしれません。

契約では可能な限り、「相手が契約に違反した場合、(自分は)相手に何を求めることができるのか」「損害賠償だとしたら、それは何円なのか」を決めておくべきです。明確に決めておけば、「賠償額はいくらか」といった点で紛争が長期化することを防ぐことができますし、何より、相手方に契約を守るインセンティブを与えることができます。「契約違反時の効果(損害賠償額)が明確に決まっているか」というのも、契約書チェック時に押さえておきたいポイントです。

ポイント3:文言が明確な契約か?

契約書の中には、

  • (A)読んでもよく意味が分からない、又は明らかに複数の解釈が可能な条項
  • (B)明らかに不当に相手方にとって有利な条項

が書いてあることもあります。そして日本のビジネスシーンでは、このような場合、相手方に「問い合わせ」を行うのが一般的です。「第●条の●●はどういう意味ですか?」という「問い合わせ」です。

しかし、この「問い合わせ」は無意味です。相手方がどう答えたにせよ、もし後日トラブルになった場合には、何の証拠もありません。「問い合わせ」の段階では「問題ない」と回答をもらっていたとしても、トラブルになった場合に掌を返される危険性があります。

契約書に(A)や(B)が書かれている場合は、修正を求めなければいけません。(A)なら意味が明確になるよう修正を、(B)なら削除を求めましょう。

ポイントが分かれば契約書チェックは面倒ではない

以上の3つが、契約書チェックの際の最重要ポイントです。これらのポイントが分かれば、「契約書のチェックはそれほど面倒な作業ではない」ということも分かるでしょう。ちゃんと全パターンを想定していて、特に相手が契約を守らない場合にどうなるのかが決まっていて、そして文言が明確な契約かどうか。これだけでもチェックしておけば、将来的に紛争に巻き込まれたり、その紛争の中で大きな損害を被ったりする危険は下がるはずです。

弁護士 河瀬 季かわせ とき

河瀬季

コスモポリタン法律事務所(東京・音羽)所属。東京大学法科大学院卒業。起業支援など企業法務を得意としており、中小企業などのスモールビジネス事業主に対する、資金調達や労働問題などを含む各種の法務アドバイスなどを行っている。また、エンジニアやテック系ライター、ITベンチャー執行役員の経験がある元IT関連フリーランス・理系出身者であり、特許法などの知的財産法や、電子商取引・ドメインを巡る紛争など、IT法にも強い。個人サイトは「tokikawase.info」、Twitterは@tokikawase

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