個人の所得には、サラリーマンの給与所得、アパート経営などの不動産所得、個人で商売をしている事業所得、不動産を売却した場合の譲渡所得など、様々な種類があります。この内、給与所得の所得税を精算する手続が年末調整で、年末調整では処理できない場合や他の所得と合算して所得税を精算するのが確定申告です。
最新2019年分の年末調整の記事はこちらです。
令和元年(2019年)の年末調整の変更点について【人事給与担当者は必見!】
年末調整は勤めている会社がすべてやってくれます。これに対して確定申告は、勤務先ではなく、自分でやることになります。
個人の所得の種類の内、主なものは次の通りです。
基本的に給与所得だけの場合は、年末調整で所得税の精算は終了します。そして給与所得以外の所得がある場合には、年末調整では収まらず、他の所得を合算して所得税を精算する確定申告が必要になります。
給与所得だけであっても、年末調整だけでは所得税の精算が終了しないことがあります。
次の様な控除は、年末調整では行えませんので、確定申告が必要になります。
また、給与所得者であっても、2カ所以上の勤務先から給与収入がある場合は、メインの給与収入で年末調整を受けていても、サブの給与収入と合算して確定申告が必要になります。逆に言えば、確定申告でしかできない控除(医療費控除や住宅ローン控除、寄附金控除、雑損控除等)がなくて、ひとつの勤務先からだけ給与を受け取っている場合には、給与が2,000万円を超えない限りは年末調整だけでその人の所得税の精算は終了します。詳しくは、第3回「年末調整ができる人・できない人」で解説します。
12月の最後の給与をもらう前に退職して、その年に再就職しなかった人は、勤務先から年末調整を受けることはできません。したがって、確定申告により所得税の精算をすることになります。
年末調整を受けた後に保険料の控除証明書が見つかったり、年末調整後に子どもが生まれたりして、年末調整が正しく行われないといったことも間々あります。勤務先にその旨を伝えて年末調整の再調整をしてもらえればよいのですが、再調整も翌年の1月末までしかできません。このような場合には確定申告をして年末調整の不備を正すことになります。
Q. 年末調整にかける時間がもったいないので、年末調整をしないで社員に確定申告をしてもらうことは可能ですか?
A. 所得税法では一部の例外を除いて、「勤務先は年末調整をして、還付額や追加徴収額があるなら、翌年1月10日までに納税しなければならない」と定めています。
つまり、「しなければならない」とあるので、年末調整は強制されているといってよいでしょう。
では、年末調整をしなかった場合にペナルティーはあるのでしょうか?
考えられるのは、年末調整をしたら還付金額より追加徴収額が多くなる場合です。この場合には翌年の1月10日までに支払う源泉徴収税額が年末調整をしないと納付不足になります。そしてその不足額に不納付加算税という税金がペナルティーとして課されます。
しかし、年末調整をするとほとんどのケースで税金が還付となりますので、実務上はこのようなペナルティーが課されることはほとんどありません。
この記事の執筆者
年末調整
従業員が1年間に給料から差し引かれる所得税は、本来支払うべき税額と異なることがあるので、正しい税額に一致させるために「年末調整」を行います。 毎年行っている人も給与担当になって初めて年末調整を行う人も、これさえ読めば年末調整のしかたがすべてわかります。
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