税理士が教える!創業期の法人化のメリット、デメリットとは?

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執筆者:中野 裕哲 なかの ひろあき

税理士が教える!創業期の法人化のメリット、デメリットとは?

起業するときに、ほとんどの起業家がブチ当たる悩み。それは、最初から会社を設立するか、あるいは個人事業として始めるかです。個人事業主が法人化を検討するときも同様。果たしてそれがベストな選択か、あるいはタイミングがそれでいいのか。この答えを探るには、個人と法人の違いの正しい基本知識の習得が必須です。個人事業主と会社の違いのうち、基本的なポイントを整理しておきましょう。



POINT
  • 法人化のメリットは、税金面での有利さと社会的信用
  • 法人税は所得税に比べて複雑
  • 個人事業主と会社役員の報酬の違い

個人事業主にはない会社のメリット

会社を作ると税金面でのメリットを享受できます。そのひとつが多様な節税策。
個人事業主では、事業主に対する給与はありませんが、会社なら役員報酬という形で経費計上できます。さらに社宅の家賃を経費計上したり、役員を退任する際の退職金として保険を使って積み立てたりと、豊富な節税策があります。
また、税金面でのもうひとつのメリットは税率計算の構造です。個人事業主は稼げば稼ぐほど所得税率が上がりますが、会社が課される法人税は基本的に一定率。会社の利益にかかる税金(法人税、住民税、事業税の合計)は税率36%程度。

これに対し、個人事業の場合は、利益が1,800万円までは、税率が最大で33%、1,800万円を超えると40%(平成27年分以降は、4,000万円を超えると45%)となります。これに住民税の10%を加えれば、税率50%なんてことも。起業して、ある程度の利益が見込める場合や、個人事業として安定してきてかなりの利益が見込めそうな場合などは、早めに法人化を検討したほうが良いでしょう。
前述の節税策と合わせれば、更に節税効果が高くなります。

営業面や、雇用面でも会社のほうが優れています。歴史のある会社や、大きな規模の会社だと、法人としか契約しないといった社内規程がある場合があります。今でこそ、会社の設立は資本金の額に関係なく設立できるようになりましたが、以前は、1,000万円以上の資本金がなければ株式会社は作れなかったので、会社であることが即ち資金的に信用があることを表していたのです。また、雇用する際にも人材を集めやすいといった点は、会社ならではのメリットです。
やはり同じ業種や給与体系ならば、働き手の気持ちからすれば個人事業主よりも会社を選ぶことが多いでしょう。

法人税は複雑。税理士が必須に

「一方、法人化をすると会計や申告が複雑化するというデメリットがあります。
個人事業主の場合、所得税の申告は自分でするケースが多いと思います。国でも申告のためのWebサイトを用意していますし、たいていの会計ソフトにも所得税の申告書の作成ツールがついています。日々の記帳さえ正確にしていれば、申告書の作成は比較的スムーズです。

こうした個人事業主時代の申告経験から、法人成りしても法人税の申告手続きも自分でできるのでは、と思われる方も多いようですがそうはいきません。いざ取り掛かってみると、申告書には聞きなれない言葉が並んでいて、また申告書の枚数も所得税に比べて多く、一見して何を書けばいいのかわからない箇所がほとんどです。また、特定の取引については、決められた様式の申告書の提出が必要となるなど、税金についての専門的な知識がないと作成できない箇所もあります。このように、所得税に比べて法人税の申告書の作成は税金に関する専門的な知識と、多くの時間や労力が必要となります。また、その計算の特殊性から、法人税については、会計ソフトとは別に申告用のソフトが必要となってきます。

法人には税務署の厳しいチェックの目が光ります。法人は個人に比べて一社あたりの納税額も多く、公的な存在だからです。ムリに自分で申告処理を進め、誤った処理のまま申告書を提出してしまうと大変なことを招きかねません。後の税務調査でその誤りを指摘されて税金を納めることになると、額によっては経営に影響を及ぼしかねないのです。
個人事業主のときにはあまり意識してこなかったかもしれない会計や税金のルールですが、法人になれば、しっかりとルールに則って経理や申告をしていかなければいけません。個人事業主のときは、自分で経理をやっていた場合でも、法人化すれば税理士などの専門家を頼ることはリスク回避のためにも必須といえるでしょう。

会社にすれば事業とプライベートのお金は明確に区別される

個人事業主は、稼いだお金を自由に使えます。
つまり、事業のお金もプライベートのお金もどちらも自分のお金。はっきりとした境目がない状態です。一方、会社だとそうはいきません。会社のお金は会社のお金。社長個人のプライベートなお金とは明確に境目があります。社長は役員報酬として会社から受け取ったお金について自由にプライベートで使えるということになります。つまり、会社を作ると、自分で稼いだお金だから、どう使おうが自分の勝手というわけにはいかなくなります。

例えば、半年後に会社口座に戻すつもりで、社長個人の買い物やローンの支払いなどのために役員報酬以外の金額を会社口座から引き出した場合、会社から社長個人への貸付金となり、利息の計算などが必要となります。時折、大企業の社長が会社のお金を使いこんでニュースで報道されることがあります。大企業では、外部の株主など利害関係者も多いので、場合によっては罪に問われることもあります。個人事業主が法人成りしたような小規模な会社では、そこまでおおごとにはなりませんが、それでも会社のお金と社長個人のお金は明確に区別して管理する必要があるのです。

いかがですか?個人事業と会社の違い、ご理解いただけましたでしょうか。個別の事情により一概にはいえませんが、ある程度の規模で事業を展開するのであれば会社、そこまでの規模では展開するつもりはないというのなら個人事業。そのような判断基準が一般的だといえるでしょう。

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この記事の執筆者

中野 裕哲 なかの ひろあき
中野 裕哲 なかの ひろあき

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spirits/中野裕哲税理士・社会保険労務士・行政書士事務所代表。URL:https://profile.dreamgate.gr.jp/consul/pro/vspirits
年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト「DREAM GATE」で3年連続相談数日本一。著書・監修書に一日も早く起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』オールカラー個人事業の始め方がある。

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