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税理士が教える!節税につながる青色申告と複式簿記のススメ

最終更新日: 公開日:2014/10/21

執筆者:宮原 裕一(税理士)

税理士が教える!節税につながる複式簿記のススメ

『複式簿記ってよくわかんないけど、自分の仕事でそこまでいるのかなぁ。』
『エクセルで売上とか経費とかを集計してるけど、それで十分なんじゃないの?』白色申告の方からよく聞く複式簿記への感想です。しかし、起業してそこそこの黒字が出るようになってくると、青色申告に用意されている様々な特典を活用したくなってくるものです。中でも最大65万円の青色申告特別控除は、複式簿記またはそれに準ずる帳簿の記帳が必要になりますので、節税を考えた上でも避けて通れないものとなります。そこで、今回は青色申告で必要になる複式簿記についてお話してみましょう。



POINT
  • 単式簿記ではひとつの項目しか追えない
  • 複式簿記は節税への早道
  • 複式簿記なら事業という森全体を見渡せる

簿記には2種類の方式がある

わざわざ「複式」と言っているからには別の「○式」があるはずですよね?そうなんです。「複式簿記」に対して「単式簿記」というものがあるんです。まずは単式簿記から見ていきましょう。

単式簿記とは、ひとつの項目(簿記では「勘定科目(かんじょうかもく)」といいます)に絞って取引を記録・集計するだけの記帳方法のことをいいます。例えば現金に絞ったお小遣い帳など、みなさんが一度は書いたことがあるもののことですね。ためしに次の事例を記帳した「現金出納帳」を見てみましょう。

  1. 10/1日に現金が100万円あった
  2. 10/10仕入代金70万円を支払った
  3. 10/15売上代金100万円が入金された
  4. 10/20家賃10万円を支払った
  5. 10/25借入金を10万円返済した
  6. 10/31生活費として30万円を持ち出した

いかがでしょう。
現金の出入りに目的を絞った現金出納帳では、最初にあった現金100万円がいろいろな取引を通して最後に80万円になったことがわかります。

ここで、現金が20万円減ったからと言って20万円の赤字だったことになるでしょうか。そうじゃないですよね。実際に確定申告をするときは、ここから売上を拾いだし、そして必要経費になる仕入や地代家賃を拾いだして儲けを計算します。単式簿記の場合、その対象とした項目については増減・残高などが確認できますが、それ以上のことはあらためて項目ごとに拾い出さなければなりません。単式簿記ではひとつのことしか追えないのです。

『儲かっているはずなのにお金がない』
そこそこ売上もあがっていて、利益が出ているはずなのに、なぜだかお金が手元にない。事業を行っていると、こんな問題にぶつかるときが来ます。
「売上-経費=利益」というように、儲けの計算は簡単にできますよね。しかし、お金の動きはこの算式に出てこないので、これだけで手元のお金は説明できません。

じつは、起業した時点でお金がどうなっているかわからなくなってしまうこともしばしばあるのです。なぜなら、創業当初は融資を受けたり、店舗・事務所を借りたり、設備・内装にお金がかかったりと、普段の営業では行わない取引がたくさんあるからです。そこで帳簿をしっかりつけるとお金の動きも記録することになるので、お金の行き先まで把握できるようになるのです。

例えば、仕入れた商品でまだ売れていない在庫品になっているお金。売れたけれどもまだ代金をもらっていないお金。事業に必要な設備を購入したお金。業種によっては先方で源泉徴収されているお金。しまいには、決めていた生活費以上についつい使っちゃったお金など...たま~に見えたくないものまで見えてしまうわけですが、経営者として現実を受け止めて、よい判断を下すためにも経理と向き合いましょう。

複式簿記とは

一方で、複式簿記は、ひとつの取引には原因と結果があるということに着目し、その両方を記録しようというものです。

例えば現金で商品を売り上げた場合は、商品を売り上げたという原因に対して現金が増えたという結果があるのです。これを「仕訳(しわけ)」という書き方で表現し、「現金」や「売上高」などのすべての項目ついて帳簿を作成します。
つまり、この「○式」というのは記帳する項目が「単数」か「複数」かってことなんですね。一説には「単純」か「複雑」か、なんて話もありますが...

さて、複式簿記では、取引を一覧で記録するための「仕訳帳」または「伝票」と、その項目ごとに記録するための「総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)」の2つを使用します。さきほどの例を仕訳帳に記帳すると次のようになります。

WS000001-B.JPG

いわゆる「借方・貸方」の簿記の仕訳ですね。
今回は複式簿記の雰囲気を知るという目的ですので、こんなふうに記録されているんだということだけ知ってもらえれば大丈夫です。

複式簿記でわかること

では複式簿記という複雑な記帳をすることで何がわかってくるのでしょうか。さきほどの事例の中に、「借入金を10万円返済した」というものがありました。さて、単式簿記である現金出納帳を見て、借入金があといくら残っているかわかるでしょうか。当然ですが、現金出納帳は現金の増減を記録しているだけなので、いくらあった借入金の返済がいくら進んだかということはわかりません。

WS000002-C.JPG

『木を見て森を見ず』ということわざがありますよね。複式簿記はすべての項目を記録して一覧で見ることができますから、事業という森を上空から見渡したり、地上で木をひとつずつ確認したりすることができるのです。

例えば、売上が増加しているのにお金が不足している→掛け売り代金の残高が増加している→儲けになるべきお金が入ってきていないので、仕入代金の支払いでお金が無くなっている、というようなことが読み取れるようになります。その点、単式簿記の場合はそもそも木を記録しているだけなので、森自体を見ることはできないのです。

まとめ

ざっくりとではありますが、青色申告するために必要な複式簿記での記帳イメージについてお伝えしてきました。

平成26年分から白色申告でも記帳が義務化されたいま、単式簿記であれ複式簿記であれ、記帳をしなければならないということに変わりはありません。
「やよいの青色申告」などを使うと、自動的に複式簿記へと変換してくれるので、難しく思われる複式簿記もそこまで意識せずに帳簿付けが出来ます。どうせ記帳するのであれば青色申告で最大65万円の青色申告特別控除をゲットしてみてはいかがでしょうか?

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この記事の執筆者

宮原 裕一(税理士)
宮原 裕一(税理士)

1972年生まれ。税理士。弥生認定インストラクター。「宮原裕一税理士事務所
弥生会計を10年以上使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。弥生会計に精通した税理士として、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。
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