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売上1,000万円を超えたら注意すべき、個人事業主の消費税処理のポイント

公開日:

執筆者:柳原つつじ

売上1,000万円を超えたら注意すべき、個人事業主の消費税処理のポイント

個人事業主にとって、売上が上がるのは嬉しいことですが、事業の規模が大きくなるにつれて、気をつけるべきことも出てきます。その一つが、消費税の処理です。売上が1,000万円を超えた場合は消費税を支払わなければなりません。経理上も、もし間違えた仕訳をしていると後々厄介なことになります。まずは、初年度から気をつけるべき点や、消費税についての基本的な考え方から解説したいと思います。

消費税の納付はどうすればよいか?確定申告の際も参考に



POINT
  • 預かった消費税を全額納付するわけではない
  • 前々年の売上が1,000万以上あるかどうか
  • 忘れてはいけない「特定期間」

消費税はどう支払われる?

商品を買ったり、サービスを受けたりするときに支払う消費税。8%へと上がり、さらにこれから10%に上がろうとしています。税率にばかり関心がいきがちですが、どのような過程を経て税務署に支払われているのかは、意外と知られていません。消費税の基本的なところから、おさらいしたいと思います。

取引をシンプルにするために、メーカーから直接小売店が仕入れていた場合で説明していきます。たとえば、私たちが小売店で税抜き300円の商品を買ったとしましょう。消費税を含めると324円です。では、小売店は消費税としてもらった24円を税務署に納めているのかといえば、実はそうではありません。小売店はその商品をメーカーから仕入れるときに消費税を支払っているので、その分を引く必要があるのです。

小売店がメーカーから200円で商品を仕入れていたとしましょうか。そうなると、小売店はメーカーに消費税込みで216円を支払うことになります。つまり、消費税16円をこのときに支払っているので、消費者から受け取った24円の消費税から16円を引いて、8円を税務署に支払うことになります。ここまでは、いいでしょうか。

では次に、メーカーの視点に立ってみましょう。小売から受け取った16円の消費税をそのまま税務署に納めるかというと、やはり違います。メーカーは原料納入会社から原料を仕入れるときに消費税を支払っていることを忘れてはなりません。

メーカーが原料を100円で仕入れていたとすると、消費税込みで108円を原料納入会社に支払っています。小売店から受け取った消費税は16円ですから、そこから8円を引いた8円を税務署に支払うことになります。

最後に、原料納入会社が支払う消費税は、メーカーから受け取った8円全額になります。3者が支払った消費税を合計しますと......。

「8円(小売店)+8円(メーカー)+8円(原料納入会社)=24円」

ということで、最初に消費者である私たちが300円の商品を税込みで324円で買ったときの24円の消費税分が、結果的にはきっちりと税務署に納付されていることになります。

つまり、支払った消費税が全額そのまま税務署にいくわけではなく、流通の各段階の業者がそれぞれ支払っているということです。「消費者が負担する消費税を先に預かって納付している」という消費税の基本的な考え方をしっかりと頭に入れておきましょう。

基準は前々年の売上

意外と複雑な過程を経て納められている消費税ですが、ビジネスを行う誰もが支払わなければならないわけではありません。課税売上高が1,000万円以下の個人事業主と法人は、消費税の支払いが免除されています。このことを「小規模事業者の納税義務の免除」と言い、対象となる事業者は「免税事業者」ということになります。

こう言ってしまうと、多くの免税事業者の方々は関心をなくしてしまうかもしれませんが、良くも悪くも浮き沈みが激しいのが、個人事業というものです。いきなり売上が落ちることもあれば、何かの拍子に利益が出すぎてしまう可能性もあるので、消費税の知識は頭の片隅にでも置いておいておくと、いざというときに慌てなくて済むでしょう。

慌てなくてよいという意味では、売上1,000万円を超えたらすぐに課税事業者になるわけではありません。重要なのは「基準期間」である前々年の売上です。

つまり、今年の2015年に売上が1,000万円を超えた場合、課税事業者となるのは2年後の2017年です。なんだか得した気分になりますが、2017年の売上が1,000万円未満でも、2015年の売上が1,000万円を超えていることで、課税事業者となってしまうので、あらかじめ準備をしておくなど注意が必要です。

例外は特定期間

しかし、何事にも例外があります。個人事業主の場合や12月決算の法人の場合、前年の1月1日から6月30日の期間(これを「特定期間」といいます)の売上が1,000万円を超えている場合は、課税事業者となります。

つまり、2015年の今を基準に考えてみると、前々年の2013年の売上が1,000万円を超えていないとしても、2014年1月1日~6月30日の期間の売上が1,000万円以上ならば、2015年は消費税を支払わなければならない課税期間ということになります。

ちなみに、売上だけではなく、特定期間の給与等支払額についても、1,000万円を超える場合は課税事業者になりますが、個人事業主の場合はほとんど当てはまらないでしょう。

そして、もう一つ気をつけたいのが、起業してから2年目までのことです。基準期間が前々年の売上ということは、開業してから1年目、2年目は原則的には、消費税は納めなくてよいことになります。

しかし、やはりこれにも例外があります。起業して2年目については、前年上半期6か月間の課税売上高または給与等支払額が1,000万円を超えた場合は、納税事業者となります。スタートダッシュに成功して売上が伸びた場合は注意です。

また、資本金1,000万円以上の中小事業者が起業した場合も納税事業者になるので、注意が必要です。

消費税を支払うべき事業者の基準がお分かりになったかと思います。該当する場合は、速やかに税務署へ「消費税課税事業者届出書」を提出しましょう。

次回は、課税事業者となった場合は、どのように消費税の納税額を算出するのか、またどのように仕訳すべきかについて説明したいと思います。

「課税事業者になった個人事業主の消費税はどう記帳すればいい?」はこちら

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

柳原つつじ
柳原つつじ

出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。

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