給与計算の仕組みを解説:基礎と実務

公開日:

執筆者:宮田享子

給与計算の仕組みを解説:基礎と実務

みなさんは毎月のお給料日に給与明細を受け取った時にまず何をしますか? 「今月はいくらかな?」とワクワクしながら封を開けるでしょうか。それとも、銀行のATMで通帳記入をしていくら振り込まれたかを確認するでしょうか。

多くの方が給与の「手取り」に一番興味を示すでしょう。でも実はその「手取り」という給与計算のゴールに行き着くには、給与計算担当者の隠れた苦労があるのです。


POINT
  • シンプルな引き算の中に、毎月固定のものと変動するものがある
  • 給与計算ソフトはサポート役として便利
  • いちばん苦労するのは勤怠の集計

そもそも給与計算とは?

そもそも給与計算とはどんなしくみになっているのでしょう。簡単に言うと、下記のようなシンプルな引き算で表されます。

支給額(額面)-控除額(天引き)=差引支給額(手取り)

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みなさんがお友達同士で給与について話す時はおそらく「私のお給料、額面だと○○円なのに、いろいろ天引きされて結局手取りが△△円なのよ。」という話になることもあるでしょう。

支給額(額面)の中身

支給額(額面)には何が含まれているのでしょう。月給制の給与は一般的にはこのような内訳になっています。

  1. 基本給
  2. 役職手当
  3. 住宅手当
  4. 通勤手当
  5. 残業手当
  6. 深夜残業手当
  7. 休日出勤手当

このうち、毎月金額が固定されているものは1~4の基本給と各種手当で、昇給や降給、昇格や降格、引越しなどが無い限り変動はありません。

一方、毎月金額が変動するものは5~7の勤怠に関する手当です。その月の残業時間や休日出勤時間などによって変動します。

控除額(天引き)の中身

主な控除額(天引き)の内訳はこのようになっています。

  1. 健康保険料
  2. 厚生年金保険料
  3. 雇用保険料
  4. 所得税
  5. 住民税

このうち、毎月金額が固定されているものは1、2、5です。
1・2の社会保険料は、標準報酬月額×保険料率です(「社会保険|算定基礎届とは何か?」参照)。標準報酬月額もしくは保険料率が変わらない限り毎月固定です。

そして5の住民税は、前年の所得額を元に市区町村が計算してくれた金額を毎月控除します。年税額を12等分する為、毎月固定された額です。ただし12で割り切れない場合は6月だけ端数を上乗せした額を控除し、その他の月は同額で固定されます。
一方、3の雇用保険料は「支給額(額面)×保険料率」なので毎月変動します。4の所得税は「課税対象額(支給額-非課税通勤手当-社会保険料)×所得税率」ですので、こちらも毎月変動します。

給与計算ソフトを使うと何がラク?

毎月金額が固定されているものをあらかじめ基本情報の画面に入力しておくと、計算する月の給与計算画面に自動で表示されます。手計算の場合ですと「この人の基本給、いくらだったっけ?」と毎月確かめますがその必要がありません。

残業手当は、残業時間を毎月入力すれば自動計算してくれます。標準報酬月額や住民税も登録しておけば良いですし、変動する雇用保険料や所得税などはその月の支給額を元に自動計算してくれるので、お任せです。

ソフトに任せっきりで大丈夫?

とは言え、ソフトに任せっきりで大丈夫でしょうか。

もしも従業員から「残業手当ってどうしてこの金額になるんですか?」、「今月から社会保険料がいきなり高くなっているのはなぜですか?」などと質問された時に、答えられますか?

「ソフトが計算したのだから間違いないです。」なんて答えたら、担当者としてちょっと問題ですよね。きちんと計算の根拠を理解しておくことが大切です。ソフトはあくまでも業務のサポート役ですね。

いちばん苦労するところは?

給与計算業務でいちばん苦労するところはどこでしょう。私は勤怠の集計だと思います。先ほど「残業手当は、残業時間を毎月入力すれば自動計算」とお話ししましたが、その計算の元になる残業時間を集計することが大変なのです。

従業員各人のタイムカードや出勤簿を見て、残業、休日出勤、遅刻や早退、欠勤、有給休暇など勤怠の集計が必要です。最近のタイムレコーダーの中にはカードの打刻を元に自動で勤怠の集計をしてくれるものもあるので便利です。でも実はそれでも安心できません。打刻という行為そのものは機械ではなく人間がするのです。「打刻をし忘れて帰った」「カードを逆さまにした」「他人のカードに打刻した」等のミスは結構あるものです。

まとめ

給与計算は「合っていて当たり前」と誰もが思っています。毎月、正しい「手取り額」を計算し確実に支給する。この繰り返しは単純なことかもしれませんが、非常に重要な業務です。給与計算担当者の人知れぬ苦労があってこそ、給料日に従業員のみんなが笑顔になれる。とても素敵なことだと思いませんか。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

宮田享子
宮田享子

宮田享子(みやたきょうこ)
社会保険労務士。産業カウンセラー。
社労士法人・税理士法人等で実務経験を積んだ後平成22年独立開業。労務相談の他、講師業やメンタルヘルス対策に力を入れている。趣味はオーボエ演奏とランニング。
みやた社労士事務所HP

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