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成功するスタートアップを"量産"することがニッポンを強くする!Creww株式会社・伊地知天さん

公開日:

執筆者:安田博勇

成功するスタートアップを“量産”することがニッポンを強くする!Creww株式会社・伊地知天さん

crewwは日本最大級の“オープンイノベーションプラットフォーム”です。crewwに登録したスタートアップ企業は、「crewwコラボ」への参加が可能になります。スタートアップはこのプログラムに参加することで、大手企業のリソースを活用し自分たちの成長を加速。大手企業側もスタートアップ企業と手を組むことによって新規事業やイノベーション創出の活動を広げていくことができます。サービスにはいったいどんな狙いがあるのか? スタートアップ企業と大手企業の相性は? Creww株式会社代表取締役・伊地知天さんに伺ってきました。



――crewwコラボでは、これまでどのくらいのコラボを開催したのですか?

これまでの56のコラボが開催されています。それらのコラボのなかでトータル1,691件の提案が挙がり、うち399件が企業へのプレゼンにまで発展。現在協議中のものを含め、212件の提案が採択されています。

――例えばどんなコラボが実現したのですか?

読売新聞社が開催したコラボでは、駐車場のシェアサービス「軒先パーキング」とのマッチングが実現しました。「新聞」と「駐車場」には何の接点もなさそうじゃないですか? 取り組みの内容は、全国約7,200店舗にのぼる読売新聞の販売店網を、軒先パーキングの駐車場シェアサービスに活用するというものでした。スタートアップの知恵を借りれば、大手企業が持つリソースにも意外な活用方法があることがおわかりになるのではないでしょうか。

また、今年2月末には、弊社とオリックスグループ4社(オリックス自動車、オリックス不動産、オリックス・クレジット、オリックス・レンテック)の提携を発表していて、オリックスグループ各社のコラボも順次開催しています。4月にエントリー募集をしたオリックス不動産のコラボは、同社が保有・運営する全国700の施設を有効活用するというもの。5月に1次セレクションを発表し、6月9日に2次セレクションが発表されたばかりです。

――最近では「creww企業プラン」というサービスも開始されたそうですね。

crewwコラボは、スタートアップと"大企業"のマッチングに特化したサービスですが、オープンイノベーションのプラットフォームを"大企業"だけに限定して提供したいというわけではありません。例えば"地場企業"や"町工場"のような企業が保有する要素技術も、スタートアップとの相性はよい。そこから何かを生み出せるかもしれません。creww企業プランでは、そうした企業が、弊社オススメのスタートアップによるオンライン上のピッチイベントに参加できたり、オープンイノベーションの相談窓口としてcrewwを活用できたりするなどのサービスを提供します。オープンイノベーションをもっと"オープン"にしようというのが、creww企業プランの狙いです。

――そもそも伊地知さんは、どんなお気持ちからこのサービスを始めたのでしょうか?

私自身、過去に何度か起業しており――Crewwで4社目になるのですが――アメリカ西海岸、フィリピンでの起業も経験しています。そのなかで感じたことは、日本ではいまだ起業家の価値が低く見込まれ、スタートアップに流れるお金もまだまだ少ないという現実でした。

その解決方法の一つとして私たちが考えたのが「スタートアップが大手企業のリソースを活用する仕組みづくり」でした。企業のリソースを活用することで、スタートアップは最速・最短で成長できますし、その結果エクジットまでの道のりや時間が短縮されると考えています。

――日本の産業を盛り上げる意味でも、起業家の育成は急務だといわれています。

もちろん、日本にもこれまで成功したスタートアップは複数存在します。しかし成功するスタートアップを量産する仕組み、すなわち「再現性」がありません。

そもそも起業家を増やすにしても、そのロールモデル、すなわち過去に成功体験を得た起業家が少ないのが現実で、しかも日本の場合「スタートアップ企業の最終ゴール」というと、株式上場の話になってしまいがちです。対照的にシリコンバレーの多くのスタートアップはM&Aによるイグジットを狙っていて、起業家はそこからまた新たな挑戦をしたり、投資家サイドにまわったりしています。
アメリカ、シリコンバレーのスタートアップ文化がベストというわけではありませんが、次から次へと革新的なサービスが生まれる場所では、こういったエコシステムが起業家、スタートアップの挑戦を活性化させていると言えます。

――それが繰り返されることで、新たなスタートアップにもお金がまわっていきます。

日本でもM&Aを量産すべきですが、まだその数は少ない。M&Aの事例もあるにはありますが、一部の企業だけがやっているのもよくなくて、"非IT系"あるいは"トラディショナル"な企業こそがM&Aを起こしていくことに意味があるんです。

こうした現実から逆算していくと、いきなり買収は難しいから、まずは出資から。出資も難しいのならば、まずは協業から――。それが「crewwコラボ」を始めるにあたって、私が思い描いたことでした。

だから、私たちの軸足は常にスタートアップにあります。とはいえ、スタートアップに必要な経営資源を渡していくことと、大手企業の新規事業を創出することは利害がぴったりと一致します。スタートアップのためになればなるほど、大企業のためにもなる。どちらに軸足があっても、結果に変わりはありませんが、私たちがこの事業を行う上で見ている先はスタートアップで、自分たちもスタートアップとして最速・最短の成長を目指しています。

――両者をマッチングさせるなかで、crewwのスタッフの皆さんは具体的にどのような役割を果たしているのでしょうか?

新規事業をつくるのは、あくまでコラボを開催する大手企業です。我々はそのフレームワークを提供する立場。大手企業もスタートアップも我々も一緒になって事業をつくっていくというスタンスです。

具体的には、大きく分けて「ソーシング」「コミュニケーション」「エグゼキューション」の3つがあると思っています。これらは、大手企業とスタートアップが何かをやるときに、つまずきやすいポイントでもあるんです。

――とても興味深いですね。それぞれご説明いただきたいのですが、まずは「ソーシング」(=選定)とは?

そもそも大手企業は、どういうスタートアップが自社に合うのかわかりません。スタートアップから提案を受けても、なかなか自分ゴトとしてとらえられず、それが自社にどんなメリットをもたらすのかイメージしにくいものなんです。

そこで弊社が一緒になり、大手企業側の経営資源を棚卸しします。それらを「crewwコラボ」のページでスタートアップに向けて公開し、スタートアップは自社の成長のために活用したい経営資源を選択し、具体的な取り組み内容をオンラインでエントリーします。相性がよいと思われるスタートアップには私たちからお声がけもします。まずはどんな経営資源があり、そこにどんなサービスをからめれば面白いことができるのか。そんなことを整理する、お手伝いをしているわけです。

――なるほど。では2番目の「コミュニケーション」は?

コラボ中に起こりがちなのは、大手企業とスタートアップがただの「受発注の関係」になってしまうことです。あくまでお互いが持っているものをテーブルに持ち寄り、新しいことをやりましょう、というスタンスが肝心。

その対策として、企業間でコミュニケーションのできる弊社独自のツールを用意しています。一次セレクション(選考)までの間、両者がツール上で提案内容をブラッシュアップすることができます。ブラッシュアップの過程は弊社がモニタリングしていて、話がおかしな方向に流れそうになっても正しい方向に会話を導いています。

――そして最後の「エグゼキューション」(=実行)。

1つのコラボにつき、参加スタートアップからかなりの数の提案が挙がってきます。その後、選考に残ったスタートアップは、大手企業の役員が参加するプレゼンテーションにのぞむことになります。

ちなみに企業プレゼンの場では、5箇条くらいにまとめた"心得"を配っています。このプレゼンがどういう意図をもって行われるものなのか、みんなに共有するんです。例えば「この場でできる・できないの判断は厳禁」とか、「どうしたら実現できるか」をみんなで話し合うことをうながします。この頃には大手企業のcrewwコラボ担当者もスタートアップ側と協働してもらっていますから、そこにアウェイという雰囲気はありません。

プレゼンを見た役員の多くは興味津々。採択される確率も決して低くありません。しかし問題はこの採択の後に起こるんです。

――どんな問題でしょうか?

crewwコラボのようなプログラムは、たいていの場合、その企業の経営企画室や社長室、新規事業部といった参謀的な部門が窓口を担当します。しかし具体的な事業にまで及ぶとなれば、より現場に近い「事業部」にも参加してもらわなければいけません。

しかし事業部にしてみれば臨時の案件です。もし事業部がこの臨時案件を面倒に思えば、企業内で利害がバッティングし、これを放っておくと、せっかく採択された提案も自然消滅する可能性が非常に高いんです。

――だからこそのエグゼキューション(実行)なんですね。どのように解決するのでしょうか。

スタートアップ、そして、コラボ開催企業の経営企画室と事業部。この3者のなかに弊社が入り込んで、提案に対する効果測定の設計・運用を指南します。

効果測定では、変に無理難題を押しつけてはいけないし、最適なテスト設計も意識しなければいけません。「効果測定によって、これより上になら次のステップ。これより下なら撤退しよう」というふうにルールを決めておくことも必要です。そうすることでスタートアップ側からすれば、だらだらと数ヵ月間も引きずられることがない。大手企業側からすれば、効果測定の結果が社内を説得する材料になりますし、事業部も実行に移りやすくなります。

――これまで多くのスタートアップ企業、もしくは、スモールビジネスの経営者を見てきて、伊地知さんが感じることってありますか?

自分たちもまだ挑戦中の身ですからあまり大きなことは言えませんが、国内外の起業家を見てきた経験から思うことは、スタートアップの起業家にしても、スモールビジネスの経営者にしても、みんな大きな企業に対して"萎縮しすぎ"な印象がありますね。これは正直、あまりいいマインドだと思いません。もっと利用し合えばいいと思うんですよ。いい意味でビジネスライクに。

大手企業は「パートナー」としてスタートアップを使い倒せばいいし、スタートアップは大手企業のリソースを活用しまくればいい。スタートアップが大手企業に何かを提案するにしても、変に"ゴマすり"をするようなスタンスではなく、「ここでダメなら、あっちの企業に持っていきますから!」くらいでいい。他の企業にも断られ続けたのならば、その提案自体がマーケットのニーズと合わないのかもしれないけれど、最初はそのくらい堂々としていればいいと思います!

――業種や職種も企業の大小も関係なく、"上から目線"で接する人もいない。オープンイノベーションのプラットフォームは、そんなマインドから始まるのかもしれません。本日はどうもありがとうございました。

伊地知天いじち そらと

伊地知天

スタートアップコミュニティcreww創業者&CEO。16歳で単身渡米。これまでに、日本2社、アメリカ1社、フィリピン1社4つの会社を創業。2005年カリフォルニアの大学在学時にアメリカでウェブマーケティング会社を創業し、米Fox社をはじめとする600社以上の企業のウェブ戦略をサポート。2009年に開始したオンラインショッピングモール事業は、翌年に米大手動画配信会社に売却。2012年にフィリピンでオフショア制作の会社設立。同年、4個目の会社となるcrewwをプロジェクトとして開始し2012年8月に法人化。3社のCEOを退任し現在はcrewwに100%専念中。crewwは現在2000社のスタートアップが登録するオンラインのコミュニティでこれまでに約60の大企業とスタートアップ企業オープンイノベーションプログラムを実施。

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この記事の執筆者

安田博勇
安田博勇

1977年生まれ。大学卒業後に就職した建設系企業で施工管理&建物管理に従事するも5年間勤めてから退職。出版・編集系の専門学校に通った後、2006年に都内の編集プロダクションに転職。以降いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。

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