LINEスタンプ制作者のための確定申告ガイド

最終更新日: 公開日:2016/08/01

執筆者:鈴木宏昌

LINEスタンプ制作者のための確定申告ガイド

年齢、職業を問わず色々な人がチャレンジしているLINEスタンプ。LINEスタンプ制作者になるには、ラインスタンプクリエイターとして登録するだけなので非常に人気がありますが、そんななか、盲点になるのが確定申告です。どんなときに確定申告をしなければならないのか? 注意することはなにか? 今回はLINEスタンプ制作者が確定申告をするときに気をつけたいポイントを説明します。



POINT
  • LINEスタンプの報酬は振込申請をしてはじめて入金される
  • 報酬の確定と入金のタイミングにはズレがある
  • LINEスタンプの分配金はデザイン報酬なので、源泉徴収される

LINEスタンプの収入と経費

LINEスタンプの所得は、収入から経費を差し引いて計算します。「LINEスタンプの収入」とはライン株式会社からLINEスタンプ制作者に支払われた金額のことです。実際に預金口座に振り込まれる金額は源泉徴収された後の金額なのですが、税金を計算する場合の「収入」とは源泉徴収される前の金額のことをいいます。

経費はLINEスタンプを制作するためにかかったものが該当します。具体的には、

  • プロバイダー料
  • パソコン購入代
  • LINEスタンプを制作するためのソフト
  • LINEスタンプ関連書籍
  • LINEスタンプ関連セミナー参加料
  • バナー広告等

などが考えられます。スタンプを販売するために使った経費だけを抽出して計算しましょう。パソコンなど10万円以上の金額になると、購入した年に全額経費に計上することはできず、資産計上し減価償却しなければいけませんので注意が必要です。日頃からレシートや領収書を保存しておき、LINEスタンプ制作に使用したものは漏れなく経費として計上するようにしましょう。

LINEスタンプ制作者は、確定申告をしなければいけないのか?

LINEスタンプ制作者の中には、イラストなどの仕事をしている方だけでなく、一般企業で会社員として働きながら空いた時間にスタンプ制作をするような、いわゆる副業の方もいることでしょう。本業のほかに副業としてLINEスタンプ等の創造物(アート・絵などの作品販売)での儲けがある場合には、その内容や状況によって「事業所得」か「雑所得」かのどちらかで確定申告をする必要があります。

「事業所得」には、青色申告と白色申告があります。
青色申告は、所得から65万円か10万円の控除を受けることが可能です。ただし、記帳義務(会計帳簿作成を行う義務)が生じますので、それなりの手間がかかりますが、節税効果が高いです(白色申告でも記帳の義務はありますが、手間は青色申告のほうがかかります)。
「事業所得」として申告する場合は、開業届と青色申告承認申請書を提出して、青色申告すべきです。

参考:青色申告と白色申告の違いと節税効果について

もし、開業届を出さずにLINEスタンプ等による所得(収入から経費を引いたもの)を雑所得とする場合、その所得が20万を超えなければ確定申告は不要ですが、20万円を超えると確定申告が必要となります。

参考:「事業所得になる副業と雑所得になる副業の違い」

なお、青色申告ではなく、白色申告で確定申告しても、「雑所得」と納税額はほとんど変わりません。

LINEスタンプ収入と消費税申告の関係

LINEスタンプ収入が1,000万円を超えた場合には消費税を支払う必要があります。
この場合の1,000万円は、"儲け"ではなく収入(Apple、Google等の手数料を差し引く前の金額)の扱いとなります。所得税法上は「雑所得」として申告していても、消費税と所得税では事業の捉え方が異なります。
「反復、継続かつ独立して行われる資産の譲渡等」に該当する場合は、消費税法上は「事業」と見なされます。LINEクリエイターズスタンプによる収入は消費税法上「事業」に該当するので、売上が1,000万円を超えると消費税がかかってしまうのです。なお、消費税の納付は、原則として1,000万円を超えた年の翌々年からです。

LINEスタンプ収入と確定申告の変動所得の関係

LINEスタンプ制作者から、「あるスタンプが、時流に乗って爆発的に売れて、その後はポツポツだったら税金が心配」と相談されることがあります。所得税の所得には変動所得というものがありますが、実際のところ、変動所得とするのは難しいのが現状です。

変動所得とは、その年の儲けで税金計算をせずに、その収入が「5年間かけて得られたもの」だと仮定し、その儲けを5年間の平均収入として、その金額の水準の税率で所得税を計算するという仕組みです。
変動所得に該当すれば、所得税を緩やかにすることができるので、1年の収入として計算するよりも税額が低くなる可能性があるのです。
実は、変動所得の範囲というのは限定的で、条文としては所得税法施行令7条の2に規定されています。

  1. 漁獲若しくはのりの採取から生じる所得
  2. はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝若しくは真珠(真珠貝を含む)の養殖から生じる所得
  3. 原稿もしくは作曲の報酬にかかる所得
  4. 著作権の使用料にかかる所得

LINEスタンプの報酬は著作権の使用料の対価という名目で支払われるのが一般的ですが、LINEスタンプ制作は、実質的には「デザイン料」です。
ここでいう著作権の使用料にはデザイン料は該当しないことになっており、LINEスタンプ収入を変動所得とするのは難しいでしょう。もし、高額な収入になりそうならその年の確定申告は、税理士などの専門家に相談されることをおすすめします。

重要なのは、報酬の確定と入金のタイミング

LINEスタンプが売れた場合、売上確定メールが届きますので振込申請をします。この振込申請は報酬金額が1,000円以上にならないとできません。
振込申請をしてから入金されるまでにはあまり時間はかかりませんが、スタンプを作成してから入金までには半年以上かかるケースがあります。

LINEスタンプの報酬は、原則として報酬の確定したタイミングで収入を計上するため、売上を計上するタイミングと入金のタイミングにズレが生じてしまいます。

特に、青色申告の65万円控除を受ける場合は、発生主義で記帳をする必要があり、報酬が確定したタイミングで売上を計上する必要があります。そのため、LINEスタンプの入金があった時に売上を計上するのではなく、売上確定メールが来た時に収入を計上する必要があります。
売上タイミングの証拠になるので、売上確定メールは、できれば印刷して保管しておきましょう。

LINEスタンプの収入と源泉徴収の関係

最後に覚えておいていただきたいことは、入金金額は源泉徴収されているということです。

LINEスタンプの収入はデザイン料にあたります。デザイン料の報酬は源泉徴収が行われて入金されますので、報酬額の10.21%(100万円以下の場合)が源泉徴収され、そこからさらに振込手数料を差し引かれた残りが入金されます。

売上は、振込額ではなく、差し引かれている源泉徴収額と振込手数料を足した、差し引き前の金額で計上する必要があります。差し引かれた源泉所得税は、確定申告書に記載することで、納める税額から差し引くことができます。納める税金が源泉所得税より多い場合は、還付されます。
また、所得が少なく確定申告をしなくてよい場合でも、源泉徴収をされているので、税金の還付を受けられる可能性があります。そして、税金の還付を受けるためには、確定申告をしなければいけません。

手軽にはじめることができ非常に人気があるLINEスタンプ制作ですが、一定の収入があれば税金を納める必要があります。マイナンバー制度の導入により税務署の目も行き届くようになりますので、正しく申告するようにしましょう。

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いざ確定申告をしなければいけないとなると、いろいろと戸惑うこともありますよね。 LINEのスタンプ制作などで所得があった場合でも、かんたんに使える確定申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」なら、これひとつで帳簿作成から確定申告書までできて、1年間無料ですので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

鈴木宏昌
鈴木宏昌

税理士。1981年北海道札幌市生まれ。Big4系税理士法人や都市銀行事業承継部などを経て、2013年に東京都北区にて鈴木宏昌税理士事務所開業、現在は赤羽に事務所を構える。IT業やネット輸出入ビジネス、相続・事業承継などが得意分野。「世界4大会計事務所のクオリティを低コストで」をコンセプトに、税理士業界歴13年のキャリアを活かして、お客様の悩みに真摯に向き合っている。
鈴木宏昌税理士事務所

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