給与から源泉徴収税額を控除しないとどうなる? 〜給与にかかる源泉徴収税について〜

最終更新日: 公開日:2016/08/08

執筆者:宮田享子

給与から源泉徴収税額を控除しないとどうなる? 〜給与にかかる源泉徴収税について〜

会社にお勤めの方に毎月支払われる給与には所得税がかかっています。これは源泉徴収税とも呼ばれています。この場合の「源泉」とは所得が発生する場所、つまり会社のこと。「徴収」とはお金を取り立てること。今回は、給与にかかる源泉徴収税のお話です。

年末調整と確定申告の納付書の書き方とは?


POINT
  • 源泉徴収しないと法律違反になることも
  • 甲欄と乙欄の違いは、扶養の申告書を会社に提出しているか否か
  • 年末調整と確定申告は、どちらも所得税を確定するもの

源泉徴収しないとどうなる?

原則として、会社は従業員に毎月支払う給与から所得税を控除し、それを税務署に納めます。これは会社にとって手間のかかる仕事です。ではなぜそんなことをしなくてはいけないのでしょうか。
そもそも所得税は納税者が自ら申告し納付する申告納税制度を採用しています。しかしこの方法だけですと特定の時期に申告が集中すること、申告漏れや計算ミスが多発することなどが考えられます。そこで給与や報酬などを支払う者が源泉徴収を行うという方法がとられることになりました。
これは所得税法で決まっており、守らないと加算税や延滞税を課税されるなどの罰則もあります。

源泉徴収税の求め方

源泉徴収税額は、給与計算担当者が毎月電卓を叩いて計算するわけではありません。給与所得の源泉徴収税額表を使い、簡単に求めることができます。ただし2つの情報が必要です。

①課税対象額......その月の給与額から所得税が非課税である通勤手当や宿直手当などのうち定められた額と社会保険料を引いた額

②扶養親族等の数......16歳以上で年収103万円以下など、一定の要件を満たす配偶者や親族等の人数

このうち、②については従業員が給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を会社に提出することで確認できます。この申告書を提出した従業員は、税額表の中の甲欄を使用します。なお、申告書の提出が無い場合については後述いたします。

参考:「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(国税庁HPより)

従業員Aさん(月給制)を例にあげてみましょう。
Aさんは勤務先へ扶養控除等(異動)申告書を提出しました。内容は以下のとおりです。(図は申告書の太枠部分の抜粋)

妻(B子さん):専業主婦、子(C太郎くん):高校生 17歳

この内容から扶養親族の人数は2人ということがわかります。
そして、源泉徴収税額は、この扶養親族の数と①の課税対象額を税額表に当てはめて求めます。
Aさんの課税対象額(表中の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」)が440,000円の場合、その月の源泉所得税額は13,470円です。

参考:給与所得の源泉徴収税額表(国税庁HP・平成28年分)より抜粋

甲欄を使うと、扶養親族等の数が多くなるほど税額が安くなることがわかります。また、甲欄の場合はその月の課税対象額が88,000円未満の時、税額は0円です。つまり源泉徴収しなくて良いことになっています。
では乙欄を使うとどうでしょうか。扶養親族等の数に関わらず、税額がとても高いですね。
乙欄は、扶養控除等(異動)申告書を勤務先に提出していない場合に使用する税額です。例えばAさんがダブルワーカーである場合、2カ所の勤務先に提出することはできませんので、メインの勤務先にだけ扶養控除等(異動)申告書を提出します。そのような場合、扶養控除等(異動)申告書を提出していない勤務先では乙欄を使って税額を求めます。

税額を求める時はメインの勤務先では税額表の甲欄、サブの勤務先では乙欄を使用することになります。

年末調整と確定申告

なぜ、毎月従業員の給与から税額表をもとに源泉所得税額を天引きして税務署に納めているのに、さらに年末調整をする必要があるのでしょうか?
実は税額表に記載されている税額は概算にすぎず、所得税額は年末になって計算しなおしてはじめて確定するのです。税額表は毎月の給与額に変化が無いものと仮定して作られています。一般的には残業手当などで給与額の変動が毎月ありますね。また、この一年間に支払った生命保険料や損害保険料、年末の時点での扶養親族等の数が何人か、などの情報を加味したうえで所得税額が決まるのです。そのため、年末に所得税額の過不足を精算する「年末調整」が必要になのです。税額表の甲欄を使用する人は勤務先で年末調整をしてもらいます。乙欄を使用する人は自ら確定申告する必要があります。前述のダブルワーカーのAさんの場合は、メインの勤務先では年末調整してもらい、サブの勤務先の分は自分で確定申告するということになります。

まとめ

毎月の給与から控除する源泉徴収税はこのように求めて、会社が税務署に納めます。給与計算ソフトの中には税額表が組み込まれているので一瞬のうちに自動計算されますが、この仕組みを知っておくことは大切だと思います。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者

宮田享子
宮田享子

宮田享子(みやたきょうこ)
社会保険労務士。産業カウンセラー。
社労士法人・税理士法人等で実務経験を積んだ後平成22年独立開業。労務相談の他、講師業やメンタルヘルス対策に力を入れている。趣味はオーボエ演奏とランニング。
みやた社労士事務所HP

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