中小企業の社長が身に着けておくべき「投資」の考え方

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執筆者:五島洋

中小企業の社長が身に着けておくべき「投資」の考え方

“未来に向けての投資”は、「お金や時間の余裕がある」人だけのものではありません。目の前の仕事に追われ、とかく“自転車操業”になりがちな中小企業の社長、個人事業主、だからこそ必要となる投資の考え方や投資する際のアクションの起こし方、注意点について解説します。


POINT
  • イザとなってからでは遅い。つねに次の一手、二手を考えておく習慣づけが大事
  • 眉唾モノの儲け話にダマされない。自分の頭で考え、試行錯誤すべし
  • 投資は"出口戦略"が肝心。投資しっぱなしではなく、"回収"まで含めて考える

人材も、新しいビジネスプランも、一朝一夕には見つからない

「日々の仕事やお金のやりくりで精一杯で、先を見据えた投資なんて考える余裕がない」

スモールビジネスの事業者とお話すると、よくこんな言葉を聞くことがあります。頭では、ビジネスにおける投資の重要性はわかっていても、冒頭のような理由から、現実はなかなか難しいという方も多いでしょう。

しかし、既存の事業が上手くいかなくなってから「何か新しいことを始めなければ」と腰を上げても、手遅れになりかねない。人材への投資に関しても、社員が辞めてからあわてて募集をかけても、求める人材は一朝一夕で見つかるものではありません。

とかく目の前の仕事に追われがちな中小企業の経営者、個人事業主が未来につながる投資へのアクションを起こすにはどう考えるべきか。ここでは4つの項目を挙げ、解説していきます。

①つねに次の一手、二手を考えておく習慣づけ・意識づけが大事

冒頭でも触れたように、投資というと「新しいことを始める余裕がない」「人を雇うお金がない」「日々忙しくて、時間がない」と、"できない言い訳""やらないための言い訳"をしてしまうケースが散見されます。

しかし、経営のスピード感が求められる現代のような状況にあっては、イザとなってから動き出しても遅いのです。

毎月、売上の推移や構成比を見て、「売上が下がっているな」「取引先が偏っているな」と感じたら、新規開拓の方法を考えてみる。いますぐにお金にならなくても、つねに次の一手、二手を考えておく習慣づけ・意識づけが大事なのです。

②投資と眉唾モノの"儲け話"を混同しない

スピード感のある行動が肝心とはいっても、他人から目の前にぶら下げられた"儲け話"に飛びつくのは御法度です。

事業をやっていると、フランチャイズなどの事業話や海外投資など、一見、おいしく見えるような眉唾モノの話が持ち込まれることが多々あります。

しかし、そんなにオイシイ話ならば、なぜその人がやらないのか。なぜわざわざ自分に話を持ちかけるのか。冷静になって考えてみればよくわかるはずです。

そもそも"他人任せ"でひと儲けできるほど世の中は甘くありません。時間や手間がかかっても、自分の頭で考え、自分なりに試行錯誤していくしかないのです。

③期限を決め、事前に回収のプランを立てておく

新しいことを考えたり、実践したりすることが得意でも、"投資しっぱなし"で終わりでは意味がありません。期限を決め、「投資額をきちんと回収する」までプランを立てておくことが大事です。

例えば、私は十数年前に自宅の一室でしていた税理士の業務を、事務所を借り、スタッフの雇用もスタートするように切り替えました。その際、2年で事務所の家賃分とスタッフの人件費を回収できなければ、自宅に戻るという覚悟を決めていました。

これは、不動産投資などにも共通する話ですが、投資においては"出口戦略"が肝心です。例えば1億円をかけてアパートを買い、投資利回り5%以上を目指すというならば、10年ならば10年で500万円の家賃収入を得て、さらにその時点で1億円の物件を1億円以上で売れてこそ、真の5%の利回りが実現できるのです。

人を雇う際も同様です。採用コストを含め、たとえば人件費に300万円をかけたならば、その人材が300万円超を稼げるようになってはじめて"回収"が成功したと考えるべきです。

④自己満足はダメ。「本当に利益につながるか」をシビアに考える

いろんな事業に手を出したり、複数の会社を経営していたりする方のなかには、どこかそのポジションにいることや行為自体に優越感を感じているようなケースも見られます。

事業をやっていくうえで「自己の可能性を広げるため」「自己実現のため」に、新たなチャレンジをするという人もいるでしょう。

もちろん夢を描くことは悪いことではありません。しかし、会社はあくまでも営利団体であり、きちんとした利益を生み出せなければ意味がありません。夢を語るよリも、現実にどんな投資をしたら実際の利益に繋がるのか。それが設備投資なのか、人材への投資なのかはさておき、事業を推進し、継続していくならば、"ロマン"と"ソロバン"のバランスが肝心なのです。

また、「いつか成功してやる」と思っていても、時間は誰にも平等であり、無限ではありません。どんなに資金を潤沢に持っていたとしても、お金が出ていくばかりで、入ってこなければいつかは尽きてしまいます。

ビジネスを続けていくためには、あくまでも「お金と時間」という縛りのなかで、一歩先を行く投資を常に意識していくことをお勧めします。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者

五島洋
五島洋

税理士、ファイナンシャルプランナー。150社以上もの顧問経験を武器に、顧客には会計業務以外の経営アドバイスも積極的に行っている。著書として『ゼロから始める会社の数字入門』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『身の回りの税金がわかる』(西東社)、『あなたの「年金」がすぐわかる本』(PHP研究所)など。
・<中小企業>社長のための経営相談所
・五島洋税理士事務所

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