行政書士・武田氏に聞く小規模事業者が補助金・助成金を活用する方法【資金調達】

公開日:

執筆者:安田博勇

【資金調達】小規模事業者が公的な補助金・助成金をもっと活用するためには〜行政書士・武田信幸氏インタビュー〜

スモールビジネス経営者はどのように資金調達をすればいいのでしょうか。その選択肢の1つになりえるのが、国の各省庁・官庁、あるいは財団が公募している、公的な補助金・助成金の制度。今回は、行政書士法人GOALに所属する行政書士でありながら、プロミュージシャンとしても補助金を活用されている武田信幸さんに、おすすめの補助金・助成金について伺いました。なかには、小規模事業者が十分に活用できる意外な補助金制度もありました。


音楽バンドと行政書士、二足のわらじを履く理由

──武田さんは行政書士法人GOALで行政書士として活動される一方で、音楽バンド「LITE」のメンバーとして活動されているそうですね

武田

はい。私が行政書士の試験に合格したのは2014年のことでして、それ以前からインストロックバンド・LITEを組み、国内外で活動しています。LITEの活動期間はもう15年間くらいになるでしょうか。

──なぜ音楽バンドと行政書士の二足のわらじを履くことに?

武田

バンドの音楽性やマーケットのことなどを考え、結成当初からLITEの活動拠点に海外も視野に入れていました。しかし長期間の海外ツアーが組まれたりすると、バンド以外の仕事にかける時間がおろそかになり、その分の収入も減ってしまっていたんです。

──その実体験が行政書士になるきっかけに?

武田

同じようなことで悩んでいるミュージシャン仲間はほかにもたくさんいました。まずは私自身、行政書士という専門的な知見から起業や資金調達を成功させ、かつ、二足のわらじでも時間やお金をコントロールできる----そんなモデルケースになりたいと考えたことが行政書士になったきっかけです。

音楽バンドが活用する「クリエイターを中心としたグローバルコンテンツエコシステム創出事業費補助金(ex,J-LOP)」と「国際交流基金」

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──LITEではどのように資金調達を行ってきたのですか?

武田

先ほどお話ししたように、LITEは海外ツアーが多いので、特定非営利活動法人 映像産業振興機構による「J-LOP(※1:現在は「クリエイターを中心としたグローバルコンテンツエコシステム創出事業費補助金」に名称変更)」は最大限活用していますね。経済産業省が運用している補助金制度で、2018年からは補助金の名称が変わり「クリエイターを中心としたグローバルコンテンツエコシステム創出事業費補助金」という名前で4月から公募が開始されています。名前は変わりましたが内容はJLOPとほぼ変わりありません。。海外ツアーにかかる費用の半分くらい補助をJ-LOPで受けていますよ。

──具体的にいうとどのくらいの金額が?

武田

海外ツアーでは渡航費や現地での宿泊費、レンタカー代金、翻訳費などを含めると、2週間くらいのツアーで200万円くらいがかかります。J-LOP(※1)を活用すれば、その半分の100万円が返ってくるイメージですね。

──ミュージシャンが活用できそうな補助金って、どのくらいあるのでしょう?

武田

音楽のジャンルによって受けられる補助金も変わってきますが、だいたい20種類くらいでしょうか。J-LOP(※1)は海外展開時のローカライズ、プロモーションなどをコンセプトに置いた補助金ですが、ほかに日本の文化・芸術を海外に発信しながらの国際交流が趣旨とされる「国際交流基金」の公募プログラムもLITEでは活用しています。

──そうした補助金・助成金って、なかなか自分に適したものが見つけにくそうですよね。武田さんはどうやって探しているのですか?

武田

私がよく閲覧するサイトでは「ミラサポ」というサイトがあります。中小企業庁が運営する補助金・助成金などの情報提供サービスなのですが、省庁・官庁の縦割りで情報提供がされることが多いこの世界では、わりあい横断的に情報検索ができると思います。

あとこれは私もプロジェクト運営側に関わっているので、少し宣伝っぽくなってしまうのですが(笑)、ミラサポにはない「財団公募」のものを含めて幅広く情報提供しているのが「みんなの助成金」。私のような行政書士・社労士・税理士・会計士・弁護士・中小企業診断士等の士業の専門家が協働で運営している有料の検索サイトです。

【参考】
ミラサポ
みんなの助成金

小規模事業者の販路開拓を支援する補助金とは?

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──ミュージシャン向け以外の補助金・助成金として、例えばどのようなものがオススメですか?

武田

有名なところだと「ものづくり補助金」でしょうか。正式名称は「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」。「生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための中小企業・小規模事業者の設備投資等の一部を支援する」とされており、最新のものは2月28日〜4月27日に公募が行われています。こちらは補助上限1,000万円(小規模型は500万円)、採択予定が1万件、というわりあい規模の大きな補助金です。

──その規模からすると、私のようなフリーのライターはなんか身構えてしまう部分があります......。

武田

でもフリーランスの方でも、十分に検討に値する補助金・助成金もあるんですよ。例えば「小規模事業者持続化補助金」。これはざっくりというと「小規模事業者による販路開拓」を支援する補助金で、「商工会・商工会議所の支援を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って取り組む」ことが条件に置かれています。

──どんな費用が対象に?

武田

具体的な補助対象として次の13項目が挙げられています。

①機械装置等費 ②広報費 ③展示会等出展費 ④旅費 ⑤開発費 ⑥資料購入費 ⑦雑役務費 ⑧借料 ⑨専門家謝礼 ⑩専門家旅費 ⑪車両購入費 ⑫委託費 ⑬外注費

──いずれも身近な項目ですね。

武田

そうですね。例えば、小規模事業者の方がWebサイトを作り、新しい商品・サービスを売っていきたい----みたいな場合も、これは販路開拓を目的とした「②広報費」にあたりますから補助対象をクリアします。

──そんなことにも補助金が!?

武田

はい。補助上限は50万円で、補助率は3分の2。75万円までの補助対象になる費用であれば、最大限この補助金を活用できることになります。ほかにも店舗経営者が「店が路地裏にあるため、集客力を上げるための電光看板を作りたい」といったケースも補助対象になりますし、それが30万円くらいの軽微な店舗改装だったとしても、そのうち20万円が補助されるわけですからその意義はかなりが大きいですよね。なかには、飲食店が「店内のすきま風を埋めるための店舗改装費用」をこの補助金で補填した例もあるくらいです。

(※編者注:賃上げ、海外展開、買い物弱者対策に関するものは上限100万円。複数の事業者が連携した共同事業は上限500万円とされている。詳しくは中小企業庁の平成29年度補正予算「小規模事業者持続化補助金(小規模事業者支援パッケージ事業)」のページから)

採択を受けるポイントは?

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──小規模事業者持続化補助金の採択率はどのくらいなんですか?

武田

おそらく「50%」くらいですね。先のものづくり補助金は10%とかそんな世界ですから、小規模事業者持続化補助金は採択率の高さという点からもオススメです。

──いつ頃に公募されるのでしょうか。

武田

ものづくり補助金もそうですが、これらは国の補正予算案に基づき、その年度での総額や公募期間が決定するんですよ。今年度の小規模事業者持続化補助金は「総額100億円」と言われており、かなり多くの事業者が採択されるでしょう。今、公募されているものでは「2018年3月9日〜2018年5月18日」が公募期間となっています。

──総額100億円とはいえ、やはり採択されるには審査がありますよね。

武田

そうですね。どんな補助金も基本的には「競争して勝ち取る」という側面を持ちます。しかもそのお金は、基本的に税金が投じられているわけです。たくさんの申請書類があるなかで審査官の目に留まるには、その補助金の目的に沿ったストーリー、小規模事業者持続化補助金ならば"販路開拓"のストーリーを適切に描きつつ「このような課題のある小規模事業者が販路拡大するには確実にこの取り組み(補助事業)が必要だ」と思わせる----そんな申請書類を揃えなければいけませんね。

>>NEXT 小規模事業者でも活用できる、オススメの補助金・助成金とは?
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この記事の執筆者

安田博勇
安田博勇

1977年生まれ。大学卒業後に就職した建設系企業で施工管理&建物管理に従事するも5年間勤めてから退職。出版・編集系の専門学校に通った後、2006年に都内の編集プロダクションに転職。以降いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。

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