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フリーランスで将来のお金が不安...お金の専門家・横川さんに聞いてきた

公開日:

執筆者:阿部桃子

税金、年金、保険、貯蓄…将来のお金が不安なフリーランスの悩みに「お金の専門家」はどう答える?【横川楓さん】

増税、年金問題、国内景気の停滞などがニュースで伝えられ、若手フリーランス・個人事業主は税金、年金、保険、貯蓄など、将来へのさまざまなお金の不安を抱えているという方も少なくはないでしょう。

そこで、ミレニアル世代(2000年以降に成人になる世代)のお金の専門家/経済評論家として活躍し、特に若い世代にお金の知識の啓蒙活動を行っている横川楓さんに、若い世代のフリーランスが金銭面で将来にどう備えたらいいのか? アドバイスを伺いました。



若手フリーランスはお金の管理がちょっと雑になりがち!?

――現在、フリーランスに限らず、20~30代前半くらいまでの方々が置かれているお金の状況について、教えて下さい。

横川

横川楓さん(以下・横川):はい。やはり「将来が不安」という方が圧倒的に多いです。奨学金を借りている人も多く、毎月の返済もありますし、社会保険料も、会社員なら月20万円のお給料で3万円くらい引かれてしまいます。みなさんわりとお金の使い方は堅実ではあるのですが、手元に残るお金が少ない、貯金に回す余裕がない世代だと思います。
データ(金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査平成29年』)を見ても、金融資産(将来のために備えているお金)が0円という方も多いです。

金融庁の試算で老後2,000万円必要なんて話がありましたが、「貯めるなんて無理」と思っている方が多いのではないでしょうか。

――なかなか厳しいようですね。では会社員に限らず、フリーランスや個人事業主の方に関してはいかがでしょうか?

横川

横川:私のまわりには、もともと会社員をしながら副業をやっていて、副業のほうの仕事の利益が増えたから会社を辞めてフリーになるという人が多いです。このパターンの働き方は、これからももっと増えると思っています。職種では、ライター、プログラマー、ウェブデザイナー、ヘアメイク、飲食系の方が多いですね。

横川楓さん

フリーランスの方は、ライフスタイルを調整しやすく、働いた分だけお金が入ってくるというメリットがあります。でも一方で、開業届を出す、確定申告をする、年金を納めるなど、自分でやることが多い。でも、その部分でみなさんけっこう雑になりがちというか(笑)。毎日忙しく働いてらっしゃるので、情報を得たり、実際に処理したりするのが難しいのか、開業届などの書類の提出をしていなかったり、あるいは確定申告さえしていなかったり、なんてケースもありますね。

ただ、フリーになって1年目は何をしていいのかわからずに抜けている部分が多くても、自分で帳簿を付け始めると、お金のやりとりに興味を持って、みなさん2年目、3年目と成長して行かれますね。

年金だけでは絶対に暮らして行けない!?

――確定申告は、最初は難しいですよね。ほかに若手フリーランスが気をつけておくべき点はありますか?

横川

横川:将来受け取る年金についてですね。会社員と異なり、国民年金のみで、いわゆる「年金の2階建て部分」と言われる厚生年金がないので、結果的に将来の受け取り額も少なくなりがちですし、自分でいかに備えるかが重要になってくると思います。

――国民年金のみで、厚生年金の分がないと、将来の年金受取額はどのくらい違ってくるのでしょうか?

横川

横川:まず会社員は国民年金に加えて厚生年金基金に加入して、月々の厚生年金を支払いますが、過去に会社員として厚生年金を支払っていた人が、今受け取っている年金の平均受取額が月14万円くらいとなっています。対して国民年金のみに加入していた方が今、受け取っている平均額が、月5万5,000円。約10万円の差が出てしまっています。なにより、月々5万5,000円では暮らして行けないですよね。さらに、これはあくまで現在の平均額なので、私たちが老後に年金を受け取る際には、もっと金額が減っているかもしれません。

でも、厚生年金の代わりに、自営業やフリーランスのための公的な年金制度「国民年金基金」が用意されています。ただ、プラスαで国民年金基金の掛金を払わなければなりませんので、今現在の収入とのバランスを見ながら考えてみればいいと思います。

――気になる年金問題ですね。そもそも受取額がどんどん減っているし、若い方のなかには、もはや払いたくないという人もいるかもしれません。

横川

横川:そうですね。でも、20歳を過ぎたらそもそも年金を支払うのは法律で決まっていることなので、私は支払わなければいけないと考えています。失業等が原因で金銭的に余裕がない場合は、各地方自治体の窓口や国民年金の相談窓口に電話したり、近くの年金事務所に相談したりして、減免、後納にしてもらう相談をすることもできます。何の連絡もなく滞納し続けると、財産を差し押さえられることもあるので、要注意です。

これは、住民税や所得税に関しても同様です。

――何だかつらい世の中ですね。お金ばかり搾り取られて、自分たちには回ってこないかもしれないという......。

横川

横川:ただ、もうちょっと大きな視点で考えてみてはいかがでしょうか?

東北大学の吉田浩教授(加齢経済学)は、「20~49歳の投票率が1%低下すれば、若者世代が1人当たり年約13万5千円分の損失を被る」というデータを発表しています。

横川楓さん

国の予算を決めるのは政治家ですが、若者が選挙に行かないことで、社会保障費の多くが高齢者の方に使われることになり、その分若い人のための配分が減ってしまうのです。

そんな現状を変えたいと思ったら、若い人も選挙で投票することで、意思表示をするべきなのではないでしょうか?

必要な保険、不要な保険

――それでは保険には入っておくべきでしょうか? 最低限若いうちから入っておくべき保険があれば教えて下さい。

横川

横川:最低限入っておくべき、というよりは加入が義務ではありますが、まずは国民健康保険ですね。フリーランスの方だったら、職種など加入に条件はありますが、「文芸美術国民健康保険組合」などの健康保険に加入することもできます。国民健康保険料は所得や自治体、保険組合によって金額は異なるので、まずは金額を比較して、検討してみるのもひとつの方法だと思います。

任意の医療保険、生命保険に関しては、金銭的に余裕のない若いうちであれば無理して入らなくてもいいと思います。国民健康保険制度では、医療費が一定額を超えたら、その分を支給してもらえる高額療養費制度を利用できるからです。医療保険では、例えば入院したら日額1万円支払われるといった保障も見られますが、結局それは自分が払い続けた掛金の一部が戻ってくるだけですから。金銭的に余裕がないのであれば、国民健康保険で十分だと思います。

ただ、医療保険に関しては、いったん病気になってしまったら、病気になった箇所の保障がつけられなくなる、保険料が高くなるなどのデメリットも。もし不安があるのなら、月々数千円程度の掛捨型の最低限のプランに入っておいて、余裕ができたら保障を増やすという方法もあります。

それからフリーランスは、会社員より時間に融通を利かせることができると思います。少しでも体調が悪いと思ったらすぐ病院に行くなど、体調管理にも気を付けていただきたいですね。

若手フリーランスでもできる! お金を貯める、増やす方法

――少しでも貯蓄をして、将来に備えたいと考えている若手フリーランスは少なくはないはずです。ただ、毎月同じ給料が入ってくるわけではないので、難しいという方も。そんなフリーランスにぴったりな貯蓄方法はありますか?

横川

横川:確かに、収入に波があると、毎月積立てする形の預金は難しいかもしれません。

私の知り合いは、特定の取引先からの売上は、振込口座を別にして、貯蓄に回しているそうです。普段使っているものと別の口座なので、簡単には引き出せないとのこと。毎月2万円くらいなので、無理もないみたいです。

横川楓さん

さらにオススメなのは「おつり貯金アプリ」。クレジットカードやポイントカードで買い物をしたとき、おつり分を銀行口座に貯金できるというアプリです。ほかに決まったタイミングで決まった金額を貯金したり、何歩歩いたら●●円貯金できる、といった方法で貯金ができるアプリなどがあります。これなら、楽しく無理なく貯金ができますね。

――なるほど。それでは、リスクが低い、お手軽にできる投資方法はありますか?

横川

横川:まず、お手軽といえば、ポイント投資。dポイントは株式銘柄や投資信託商品の細かい指定はできませんが、ゲーム感覚でポイントを増やすなど、お手軽に運用体験ができます。一方、楽天ポイントは実際にこの後ご説明する「つみたてNISA」等の個別の投資商品をポイントで買うこともできます。元手がポイントな分、ちょっと気が楽ですよね。

続いて最近話題の「つみたてNISA」。これは、積立型の投資信託です。金融庁の基準を満たした比較的安心な商品から選ぶことができ、普通に投資するとかかってしまう税金が、年間40万円までならかからないというメリットも。毎月100円から積立てられます。

投資というとリスクが心配かもしれませんが、例えば毎月1,000円投資すると決めて、先進国の株、アメリカ株、外国株メイン、日本株メインなど、100円ずつ違う地域の銘柄に分散投資を試してみるという方法もあります。分散することで、1つの銘柄で損をしても、他では利益を出しているということもありますからね。

さらに、iDeCo(確定拠出年金)。掛金は月々5,000円から、積立型の投資信託のようなかたちで自分で投資信託などの投資先を選んで運用します。ただし、こちらは60歳を過ぎないと引き出せないのがネックですが、掛け金が全額所得控除となるので、老後資金を蓄えながらできる貴重な節税対策の一つでもあります。

――iDeCoやつみたてNISAは最近よく聞かれますね。どのように始めたらいいのでしょうか?

横川

横川:まずは証券会社で口座を開設します。ネット証券は手数料も安く抑えられ、スマホアプリで簡単に管理できるのでオススメです。ネット証券がたくさんあって選べないという場合、HPの見やすさや分かりやすさ、取扱商品の多さで比較して、決めていいと思います。iDeCoやつみたてNISAは証券口座開設後、さらに手続きが必要なのでそちらも忘れないようにしてくださいね。

――知識ゼロの初心者が投資を始めるにはどんな情報を頼りにするのがいいですか? 経済に関するニュースで勉強するとか......?

横川

横川:ニュースは結局、その裏に利害関係が隠れているケースもあるので、私は参考程度にしています。それよりも、iDeCoやつみたてNISAで運用している個人投資家のブログやTwitterが参考になると思います。こちらは比較的リアルなデータが載っているので、オススメです。その場合でも、複数の人の情報を比較してみることが大事だと思います。また金融広報中央委員会が運営している「知るぽると」というサイトもいろいろな情報が網羅されていて便利ですよ。

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この記事の執筆者

阿部桃子
阿部桃子

早稲田大学卒業後、出版社、テレビ局勤務などを経てフリーランスに。専門分野は教育・育児支援、ビジネス、キャリア。『日経トレンディ』『AERA with Kids』『Bizmom』などで執筆。2児の母。活字好きの子どもを増やすべく、地域で読書ボランティア活動にも励んでいる。

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