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会社設立のメリットとデメリットとは?設立の手順と前後にやるべきこと

公開日:

執筆者:スモビバ!編集部

会社設立のメリットとデメリットとは?設立の手順と前後にやるべきこと

会社設立は、専門知識や資金力がないとハードルが高いというイメージがあるかもしれません。確かに、手続きや費用負担といった面で分かりにくい面もありますが、設立手続きそのものは意外と簡単です。

また、事業規模が大きくなればなるほど、節税や資金調達のメリットが大きい法人化の必要性は高まっていきます。そこで、今回は会社設立の基礎知識について、設立の手順やその前後にやるべきことなどを説明します。



会社設立のメリット

まずは、会社を設立することのメリットについて簡単に説明していきます。社会的な評価や節税対策といった点で法人化は欠かせないものです。

信用度が上がる

会社設立による法人化によって得られる大きなメリットといえば、「社会的な信用度が大幅に上がる」ということです。

近年では、フリーランスで活動する人の数も増えているので、社会全体としては個人事業主に対する考え方も変わってきています。なかには、高い技能や実績を積んでいる個人事業主もいますから、将来的にはそうした「実質的な能力」を第一に評価する傾向が強くなっていくでしょう。

しかし、現状ではまだまだ個人事業主と取引をしたがらない会社は多い傾向です。例えば、個人事業主が多いとされるネット系ビジネスなどを運営する事業者では、運営元が法人であるほうが圧倒的に信頼されます。

また、事業を継続していくうえで欠かせない金融機関からの借入でも、やはり法人のほうが基本的に有利です。そのほかの資金調達においても、法人のほうがより信頼性が高いと評価される傾向が続いています。

節税効果がある

法人化は、節税対策とセットで考えられるほど節税効果に関するメリットは大きいです。

個人事業主の場合、所得税率は所得が上がれば上がるほど高くなります。所得税の最高税率は45%なので、所得が多額な場合には、多額の税金を課されることになります。また、個人事業主の場合は、法人と比較して節税対策にも限界があります。これに対して、法人税率は最大で23.2%となっています。

さらに個人事業主よりも経費として認められるものの幅が広くなります。赤字が出た場合も、個人事業主の場合は3年間の繰越控除が認められているのに対して、法人の場合は最大10年まで繰越可能となっています。そのため、年間の課税所得が安定的に500万円を超える場合には、節税面から法人成りを検討することが望まれます。

決算期を自由に決めることができる

個人事業主の場合、事業年度は1~12月と決まっていますが、法人は決算月を自由に決めることができます。

会社設立のデメリット

次に、会社を設立することのデメリットについて紹介していきましょう。事業規模が大きくなることによって発生する手間や費用といった点が中心となってきます。

設立・維持・廃止に費用が発生する

法人化するためには会社設立手続きに費用が必要となります。例えば株式会社を設立する場合、公証役場で定款の認証を受けたり、法務局で登記申請手続きを行ったりするために、定款認証手数料や登録免許税など20万円以上の経費が必要となります。

また、会社設立後に登記事項に変更が生じた場合にも、変更登記の経費が必要です。さらに廃業の際にも解散・清算人選任登記や清算結了登記が必要であり、その際にも費用がかかります。

税金面での負担という点でもデメリットはあります。法人が納める地方税のうちの一つ、「法人住民税」が少しやっかいです。法人住民税は、所得に応じた法人税の額に住民税率を乗じた「法人税割」と、法人の資本金等の額と従業員数に基づいて計算される「均等割」という2つの要素から構成されています。

このうち、「均等割」は赤字であっても支払うことが必要です。事業規模の小さい会社の均等割は年間7万円前後なので、法人化した事業者は最低年間7万円以上の税金を納めることになります。

事務負担が増加する

個人事業主と比べると、法人化によって会社となった場合には事務負担が増えます。まず、会計処理や税務申告が複雑になります。また、社会保険や労働保険の手続きも必要となります。さらに、取締役会や株主総会などの開催が必要となる点でも事務負担が増加します。

税金・社会保険料の負担が増加する

先ほども紹介したように、法人化した場合には赤字であっても住民税の「均等割」を負担しなければなりません。「均等割」の負担額は、事業規模の小さい法人であっても年間7万円は必要です。

また、従業員の健康保険や厚生年金保険の保険料の半額を負担することになります。法人の場合は、基本的に健康保険や厚生年金保険への加入が義務付けられているので、これを免れることはできません。

従業員が増えるほど社会保険料の負担が大きくなるので、そのバランスを考慮することが大切です。

会社設立にかかる費用

会社には、大きく分けて「株式会社」と「持分会社」があります。株式会社は、原則として出資者である株主と業務を執行する取締役が区分されており、「所有と経営が分離」されています。それに対して持分会社は、出資者自身が利益配分や権限付与に対して決定権を持つとともに業務を執行しており、「所有と経営が一致」しています。

また、持分会社には「合名会社」「合資会社」「合同会社」の3種類があります。新規に会社を設立する場合には、株式会社か合同会社の形をとることが多いので、この2つの会社を設立する場合に必要となる費用をみておきましょう。

株式会社の設立費用の内訳は、おおむね以下のようになります。

  • 定款用収入印紙代 :4万円(電子定款の場合は不要)
  • 定款認証手数料:5万円
  • 謄本交付手数料:約2,000円(250円×定款のページ数)
  • 登録免許税:最低15万円(または資本金の0.7%の高いほう)

最低で約21万円以上です。また、多くの場合、税理士や行政書士などに相談して書面を作ってもらったり、登記手続きを司法書士に依頼したりするので、これらの費用が追加で必要となります。

合同会社の設立費用の目安は以下の通りです。

  • 定款用収入印紙代:4万円(電子定款の場合は不要)
  • 登録免許税:6万円(または資本金の0.7%の高いほう)

合同会社の場合、会社の設立に必要な費用は株式会社より少なく、6~10万円で設立することが可能です。

会社設立前の準備は何が必要?

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会社の設立は、法務局に登記手続きを行うことで完了します。したがって、設立前にすべき手続きの準備は、この登記手続きに必要な資料などをそろえていくことが主な目的です。

そのうえで、事業継続に欠かせない融資などの資金調達のための資料を準備していくことになります。設立前に準備すべき事項は次のとおりです。

  1. 定款
  2. 事業計画書
  3. 資本金の払込
  4. 登記関連書類
  5. 会社の代表印

1.の「定款(ていかん)」は、会社の基本原則を定めたもので、法律で絶対に記載しなければならない「目的」「商号」「本店所在地」「発起人の氏名及び住所」「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」「発行可能株式総数」といった項目(絶対的記載事項といいます)を記載していきます。さらには、「株式譲渡制限の有無」「事業年度」「役員及びその任期」「公告方法」など会社法上に定められた内容について、それぞれどういった内容にするのか決定しておかなければなりません。

2.の「事業計画書」は、金融機関から融資を受ける際に必要となります。3.の「資本金」は会社法上だと1円でも構わないことになっていますが、現実的には100万~1,000万円程度は準備しておいたほうが金融機関からの信頼を得られます。

4.の「登記関連書類」には定款や資本金の払込証明書のほかにも、「発起人の決定書」「取締役などの役員の就任承諾書」といったさまざまな書類が必要となってきます。そして、登記手続きでも必要になる5.の「会社の代表者印」を準備しておくことも重要です。代表者印は、印鑑届書を提出して法務局に登録するもので、非常に大切な印鑑となります。

会社設立までの流れ

会社設立の実際の手続き、準備の流れをみていきましょう。

定款の作成と認証

定款は、先ほどの準備の項目でも紹介したとおり、会社法で決められた項目について決定した内容を記載していく必要があります。作成した定款は、公証役場に提出して認証してもらい、そこで定款の謄本を取得していきます。

ちなみに、電子定款による認証も可能で、この場合はオンライン上で手続きができるだけでなく、印紙代がかからないため、費用を抑えることができます。

資本金の払込

法令上、会社は資本金1円からでも設立は可能です。しかし、会社設立後に金融機関から会社の情報を審査されるときに資本金が1円しかないと不利になることが多いので、前述した通り、通常は100万~1,000万円くらいの範囲で決めておきます。

会社設立を登記するときに「払込証明書」が必要となるため、振り込みをしておかなければなりません。通常は創業者が兼ねることの多い発起人の口座に本人名義で振り込みをして、通帳の表紙と表紙裏(支店名・支店番号、銀行印などが記載されているページ)、そして振り込み内容が記帳されているページのコピーと払込証明書を準備します。

登記申請

定款や資本金に関する書類のほか、登記申請に必要な書類を全て準備し、印鑑と印鑑届も準備します。完了したら、資本金の払込後2週間以内に設立する法人の本店所在地を管轄する法務局あてに登記申請をします。会社設立日は、登記申請書を提出した日となります。登記が完了したら会社の誕生です。

会社設立後にやることは?

会社設立後に主にやることは、「国税について税務署への届出」「地方税について地方自治体への届出」と「社会保険について年金事務所へ届出」です。

まず、税務署への届出ですが、法人としてさまざまな税金を支払うことになるため、以下のような書類を準備して提出する必要があります。

  • 法人設立届出書
  • 青色申告の承認申告書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書

上記の書類のほか、必要に応じて「棚卸資産の評価方法の届出書」「減価償却資産の償却方法の届出書」「個人事業の開廃業届出書」を提出します。また、都道府県税事務所や市町村の役場に「法人設立届出書」を提出し、地方税の届出を行います。さらに、社会保険関連の手続きも必要となります。

基本的に、法人の場合は社会保険への加入が義務付けられているので、年金事務所で厚生年金と健康保険関係の手続きを行います。従業員を雇用する場合には、労働基準監督署で労災保険関係の手続きを行うとともに、ハローワークで雇用保険に関する手続きを行わなければなりません。

個人事業主が法人成りした年の確定申告について

個人事業主が法人成りしたときの確定申告については、いくつかの点で注意が必要です。

まず、個人としての売上と会社としての売上をしっかり区別するべきです。原則として、会社の設立日以前の売上は個人事業主としての売上として処理し、設立日以後は会社の売上として処理します。また、経費についても個人事業主と会社のどちらで計上するかを区別していくことが必要です。会社設立に関する費用は会社の経費として計上することになります。

減価償却費については法人成りした月の直前までを個人事業主の経費として処理するのが基本となります。さらに法人成りした年は、個人事業主として稼いだ「事業所得」と法人成り後に会社から受け取った「給与所得」の2種類の所得が発生するので、その両方の所得を申告することが必要となります。

会社設立について相談できる専門家

会社設立は自力でもできますが、専門家に依頼したほうが効果的・効率的な場合が多いです。一般的には、司法書士、行政書士、税理士などの専門家に依頼します。

登記手続きの代理は司法書士だけに認められているため、その他の専門家に依頼した場合も間接的に司法書士が関与していることが多いです。建設業など許認可手続きを伴う場合にも、行政書士に依頼することが一般的です。

会社を設立してからの会計記帳、決算や申告なども任せることを前提に、税理士に会社設立のサポートを依頼することも多くあります。通常は、どの専門家に依頼しても他の専門家と協力して業務にあたることが多いので、状況に応じて最も適した専門領域の専門家を選択することが望まれます。

メリット・デメリットを知ってスムーズに会社を設立しよう

以上のように、会社設立についての基本的な知識を、手続きの流れを中心に説明してきました。会社の設立には事業者としての社会的な信用や節税対策、資金調達という点で大きなメリットがある一方、手続きの複雑さや法人化に伴う費用、税金や社会保険料の負担といったデメリットもあります。

したがって、法人成りして会社を設立するかどうかの判断については、メリット・デメリットをよく検討することが必要です。また、法人成りすると決定した場合は、手数料はかかりますが、専門家に依頼することが一般的です。これにより、手続き上のトラブルを避けられるうえに業務に集中することができます。

photo:Getty Images

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スモビバ!編集部
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個人事業主・フリーランスの方に役立つ情報・ネタを探して、北は北海道、南は沖縄まで東奔西走する毎日。全国のスモビなみなさんがビバ!になるように全力で応援中。いいね!を押していただけると喜びます。

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この記事の監修者

若原 芳治(公認会計士・税理士)
若原 芳治(公認会計士・税理士)

南山大学経営学部卒業後、2002年、有限責任監査法人トーマツ名古屋事務所に入所。約15年間にわたり金融機関を中心に延べ100社以上のさまざまなジョブに関与。そのなかで資金繰りに困っている会社を多数見てきた経験から、資金繰りに悩む経営者の助けになりたいと思い2017年に若原会計事務所を開業。独立後は、公認会計士・税理士としての実務経験を活かして、税務業務を中心に事業再生、事業承継、創業支援など中小企業や個人事業主の最も身近な相談相手として活動している。

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